“全国”への切符を手にするのは 2年連続の日体大柏か?3年ぶり24回目の市船か?
激戦区の千葉を勝ち抜くのか、果たしてどこだろうか。選手権本大会の出場権をかけた第102回全国高校サッカー選手権千葉予選の決勝は、昨年同様、進境著しい日体大柏と伝統校の市立船橋の激突となった。ともに“全国”への思いは並々ならぬものがあり、必勝を期して大一番に臨む。 【フォトギャラリー】準決勝試合風景 かつてJリーグの柏レイソルやベガルタ仙台でプレーしていた根引謙介監督に率いられる日体大柏は、準決勝で宿敵の流経大柏を2-1で破った。かたや、就任5年目の波多秀吾監督の下、日々、研さんを積む市船は、今年の県予選で旋風を巻き起こす拓大紅陵を4-1で退け、11年連続の決勝進出。「勝って当たり前」といわれる重圧のなか、堂々たる戦いぶりで勝ち上がった。 相手を見ながら、攻守に連動したアクションサッカーを目指す日体大柏の攻撃のキーマンは、何といっても左サイドを主戦場とするMF10片野拓久(3年)だ。緩急自在のドリブルとパンチの効いたシュート、鋭いパスが持ち味。エースとしての自覚と責任を胸に「チームを勝たせる選手になる」と意気込む。 パスの展開力に優れる日体大柏はスタイリッシュな印象が強いが、闘争心をむき出しに戦い、バトルの応酬もいとわない泥臭さを併せ持つ。ガチンコ勝負となった準決勝の流経大柏戦で、それを見事に実践してみせた。 「失点をゼロに抑えられれば、負けることはありません。まずは、球際。相手ボールへのチャレンジやカバー、セカンドボールの対応をすごくいい続けてきましたが、かなり浸透してきたと感じます」(根引監督) プレー強度とダイナミズム、攻守の素早い切り替えを基盤に戦う市船は、大黒柱のFW10郡司璃来(3年)やキャプテンのMF7太田隼剛(3年)をはじめ、個性豊かな顔ぶれがそろう。Jクラブの清水エスパルス入りが内定している郡司は、ピッチ上で違いを生み出し、一瞬のスキも逃さない。相手にしてみれば、非常に厄介な存在だ。 どこまで郡司のプレーを制限できるか。日体大柏にとって大きなカギを握るだろう。 市船の得点源は、FKやCKといったセットプレーにある。主にキッカーを務めるのは太田だが、左足から繰り出される精度の高いキックは決定機を創出するだけではなく、直接FKを自ら決めきる力も有している。 「キックのねらいどころやゴール前の入り方など、いろいろと工夫しながら日ごろから練習しています。相手が守備の準備する前に素早くボールを入れる形も自分たちの得意なパターンです。直接FKについては個人的にすごく練習してきましたし、決勝でも僕らの強みであるセットプレーが(勝負を分ける)大事なポイントになると考えています」(太田) 日体大柏が2年連続の代表権獲得か、それとも市立船橋が昨年の借りを返し、3年ぶり24回目の出場となるか。雌雄を決する大一番は11月11日、フクダ電子アリーナで、13時10分にキックオフ予定だ。どのような結末が待っているのか、早くもワクワク感が止まらない! (文・写真=小室功)