大谷翔平、”MVP級”の活躍続く明確な理由がわかる!? データでみる絶好調の要因は…?
6月11日~30日に大谷選手が本塁打を打ったボールの球種とコースを一覧にすると以下のようになる。 球種は半分近くがスライダーになるが、他の球種も本塁打にしている。打ったボールの球速も幅広い。本塁打にしたコースは、真ん中ないしはその周辺が多い。 真ん中近辺に来たボールは球種・球速に関わりなくしっかり捉えていること、すなわち好球必打にフォーカスしていることが、本塁打の増加にもつながっているのだろう。これは6月中旬以降の三振やボール球の空振りの減少と符合している。
また、5月半ばまで苦手だったコースも克服している。開幕以降のコース別のOPSの打率・長打率につき5月12日時点(以前当コラムでも掲載)、6月30日時点とで比較すると、5月半ばで苦手としていた真ん中高め、インコース低めの数字が6月30日時点では得意コースと言えるほどに大きく改善した。真ん中の打率は4割台後半にまでなった。
本塁打量産の一方で不穏な兆しも…
大谷選手にも、実は6月の終わりになって変調の兆しが見え始めた。前記のとおり6月下旬の三振数は10と中旬から増加したが、このうち半分の5つは、6月29~30日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦で喫したものだ。 さらにそのうち4つがボール球に手を出して三振になったものである。四球数が増加することで、難しい球に手を出すようになったのかもしれない。この2日間のヒットは第26号ホームランの1本のみだった。 5月以降に導入されたスイング指標のうち以下の推移をみると、この変調の兆しが数値化されている。 ・Squared-up Rate(打球速度が、球速とスイング速度から生じえる最大打球速度の80%以上(Squared-up)を記録した割合。「ジャストミート」の割合とも言える。) ・Blasts(スイング速度の高いSquared-upの割合) 7月2日時点では、5月下旬~6月上旬、6月中旬、6月下旬の順に、上記指標は以下のように変化している。なお、数字は空振りを含むスイング数に対する割合である。 ・Squared-up Rate:22.0%→38.0%→20.4% ・Blasts:14.2%→26.8%→11.1% 本塁打の量産が続いた6月下旬ですでに、これらの数字が5月下旬~6月上旬の水準を下回っている。上記の三振の傾向と合わせれば、6月末の時点でスイングが粗くなり始め、不調の兆しすら見せているかもしれない。 ボールの見極め、確実なコンタクトにより、終わってみれば今年も好調な6月を終えた大谷選手。一方、どんな選手にも好不調の波はある。6月最後のジャイアンツ戦の内容からみれば、大谷選手の7月は6月のようにいかないだろう。 ただし、不調の兆しを確実に修正し再び好調な7月を迎えられれば、その時には三冠王獲得がより現実に近づきそうだ。 (参考) Ohtani can't possibly be underrated, can he? (Yes) 2024年6月28日 MLB公式HP記事
ベースボールチャンネル編集部