親友が余命わずかと知った 寄り添うために必要な考え方を学ぶ
がんをはじめ、完治が難しい重い病にかかってしまったとき、人はかなりのショックを受けると思います。なぜ自分なのか、これまでの生活態度がたたったのではないか、これは因果応報なのか、と嘆かれるかもしれません。そうやって人は、現実に対して抵抗しながらも、理解し、受け入れようとしていくのです。 米国の医師エリザベス・キューブラー・ロスは、著書『死ぬ瞬間』で死にゆく人の心理の変化を「死の受容のプロセス」として説明しました。 ●避けられない事象を受け入れるプロセス <死の受容のプロセス> 1.否認と孤立 自分の命が長くないことに衝撃を受け、その事実を感情的に否認したり、逃避しようとしたりしている段階。周囲の認識や態度にギャップが生じるため、孤立しがちになる。 2.怒り 死ぬという事実は認識したが、一方で、「ではなぜ、自分がこのような境遇になってしまうのか」「なぜ自分が死ななければならないのか」といった思いが強くなり、周囲に反発したり、怒りがこみ上げてきたりする。 3.取引 死をもう少し先延ばしできないか、あるいは奇跡が起こってなんとか死を回避できないかと考えて、神仏にすがったり、善行を行ったりする。 4.抑うつ 死を避けられないことが分かり、諦めや悲観、むなしさ、憂鬱、絶望といった気持ちが支配して、落ち込む。 5.受容 死を、誰にでも訪れる自然なものとして受け入れるようになる。これまでの価値観や視野とは異なる次元があることを理解し、心静かに暮らす。 「死の受容のプロセス」は、もちろんすべての人に当てはまるものではありません。1から5まですんなり進まずに、行き来を繰り返す人もいますし、早い段階で5の受容まで達する人もいれば、受容までたどり着かない人もいます。こうした心理変化を知ることで、重い病気を患う人の心に寄り添うことができたり、自分が重い病気にかかったときの心構えができたりします。