「プリキュア好きなんて変」息子が言われて傷付いたら、親はなんて声をかければいい?専門家に聞いた
自分もお友だちに「変」と言われて傷付いていたのに...
松沢佳苗記者(6歳と4歳の子育て中) 娘も服装のことで「男の子みたいで変」と言われて傷ついたことがあるのですが、娘自身が友だちの黒い運動靴を見て「男の子みたい」とつぶやいたこともありました。そういうとき、どう声をかけたらいいのでしょうか? 内海崎さん 特に未就学児の場合、「自分がされて嫌だと思うこと」と、「自分のしたことを相手がどう思うか」がまだつながっていないんですね。なので、相手から言われて嫌だったことも自分で言ってしまう、ということは起こり得ます。そういう姿を目にしたときには、「え~、お母さんは女だけど青が好きだよ」「お父さんもピンクが好きだけどな」 など、視野を広げられるような声かけをするといいでしょう。 松沢記者 一方で、私が「女らしく」「男らしく」のような言葉を嫌がるので、子どもがそんな親の顔色をうかがって、言わないように気をつけていると感じるときもあります。理由は分からないけれど親が嫌そうだから使わない、というのもまた違うかなと思うのですが...。 内海崎さん 周りの顔色を見て行動するというのは子どもが生きるための戦略であって、悪いことではありません。行き過ぎはよくないかもしれませんが、そうやって、人間関係を調節していると考えられます。
身内が「男の子なんだから」「女の子なのに」と言ってくる
小西記者 子どもが日々触れるテレビやアニメ、漫画などでも「男が料理なんかできるか」「女の子なんだからおしとやかにしなさい」など、「性別らしさ」の感覚はあふれています。そんな中で、子どもが「自分らしさ」を大切にするには、どんなことに気をつければいいでしょうか。 内海崎さん 複数のコンテンツに触れることで一つの価値観に偏らないようにしたり、親が一緒に見ながら違う考えを口にしたりするのはどうでしょう。言い方一つで、キャラクターを否定せずに違う視点を教えることもできますよ。 例えば、「男性は料理をしないもの」というような場面が出てきたら、「料理ができたら自分の好きなもの食べられるのにね」と付け加えてみるとか。ジェンダー関連でなくても、例えばちょっとした闘いのシーンが出てきたときに「お母さん(お父さん)なら 、お話ししようって言うな~」と言うなど、色々な場面で使えます。 松沢記者 パートナーやおじいちゃん・おばあちゃんなど、身内が「女の子なんだから」「男の子なのに」といった言葉を日常的に子どもにかけるのが気になる、という声もよく聞きます。 内海崎さん 子どもが混乱することは避けたいですよね。ただ、なかなか大人の価値観を変えるのは難しいところがあります。誰かを悪者に設定してしまうと、関係性を崩してしまうことにもなりかねません。争わなくても、子どもが視野を広く持てるように、違う価値観について言葉や行動で示していくことはできます。 子どもは親の行動から価値観を学んでいますから。 ----- 内海崎貴子(うちみざき・たかこ)さん 白百合女子大(東京)副学長で、カトリック教育センター教授。川村学園女子大(東京)名誉教授。ジェンダー平等教育が専門。「差別体験授業」というワークショップ型の教育方法を開発し、大学の授業や教員研修、自治体職員研修などで実践している。