イスラエル極右「ガザは我々の土地」…国内で存在感増す“入植者” その思想は
イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘休止をめぐる交渉が、大詰めを迎えている。ネタニヤフ首相の政治判断に影響を与える可能性があるのが、国内で存在感を増す“極右勢力”だ。入植者団体「ヒルトップ・グループ」のシュモリック・ファインさん(30歳)に話を聞いた。 イスラエルの極右勢力は、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸で「入植活動」を行っている。一方的にパレスチナ人を追い出し定住を進める「入植活動」について、国連安全保障理事会は国際法違反だとして即時停止を求めている。オンラインインタビューは4月30日に行われた。
■「ハマスと交渉すべきではない」…戦闘続行を主張
――「ヒルトップ・グループ」は、どのような考えを持っているのでしょうか。 「ヒルトップ・グループ」には、10代から50代まで数千人が所属しています。ユダヤ教の信仰では、聖書にもとづき、「完全なイスラエル」(注:イスラエルおよびパレスチナ自治区のヨルダン川西岸とガザ地区を含む一帯)という考えがあります。私たちはこの「完全なイスラエル」の土地すべてを、神がユダヤ人に与えたと考えています。私たちの活動は、この土地とのつながりを強化し、実際に定住することです。 ――具体的には、どのような生活をしているのでしょうか。 (ヨルダン川西岸の)「ユダヤ・サマリア地区」で農業を営み、ヒツジやヤギを飼って牧畜を行っています。水は購入することもありますが、基本的には井戸水を利用します。電気はすべて太陽光発電でまかなっています。ユダヤ教の戒律にもとづいて、未婚の男女は別々に暮らし、グループで生活しています。 ――EU(ヨーロッパ連合)は4月、「ヒルトップ・グループ」に「パレスチナ人に対する深刻な人権侵害を行っている」として制裁を発表しました。どのように受け止めていますか。 私たちは暴力行為ではなく、平和的な手段を支持しています。しかし去年10月7日に、ハマスによる襲撃が起こりました。私たちは自らを守らなければいけません。ですから、「アラブ人」(注:パレスチナ人)との分離は私たちにとって良いことなのです。「アラブ人」にとっても、イスラエルにいるのは良いことではないでしょう。 ――現在、イスラエルとハマスの戦闘休止と人質交換をめぐる交渉が行われています。イスラエルはどのような立場をとるべきと考えますか。 私は、ハマスとは交渉するべきではないと思っています。2011年にイスラエル兵がガザから解放された際、その代償として、拘束されていたパレスチナ人1000人以上が釈放されましたが、彼らの多くがその後、テロを起こしました(注:シュモリックさんの考え)。ハマスとの交渉は、テロリストをさらに解放することになります。ハマスに対しては全力で戦っていくべきです。