子ども広報部員が奮闘 大阪・西淀川区の製造業を売り出せ
溶射作業を体感し「すごくない?」「すごーい」
ふたつ目の見学ポイントは防食溶射。ブラスト処理でさびや汚れが取れた鉄の表面に、加熱した金属の粒子を吹き付けて被膜を作り、さびから守る工程だ。熱源が異なるアーク溶射、ガスフレーム溶射などがある。 ガス溶射では2500度に加熱された粒子状の亜鉛を段ボールに吹き付けると、瞬時に70度まで冷えるため、被膜ができた段ボールは焼けないし、熱くならない。隊員たちが段ボールの被膜にさわってみると、確かに熱くない。新免社長が「すごくない?」と聞くと、「すごーい」。 隊員たちはピストル型の溶射機が気になるらしい。新免社長を引き留めて仕組みの説明を求め、溶射機を持って感触を確かめる。目の前で起こる金属の劇的化学変化は五感に訴え、バーチャルゲーム以上の強烈なインパクトを放ったようだ。 ただし、感覚を刺激されただけではない。見学終了後、隊員たちに感想を聞くと、「ブラストで表面がざらざらになり、塗装がはげなくなるところがすごかった」「溶射加工では、2500度の金属があっという間に70度までさまされることが分かりました」。新免社長の現場での説明を、しっかり聴き取っていたことが明らかになる。隊員たちの取材力はたいしたもので、決して侮れない。
案内した社長「工場の仕事を知ってもらいたい」
隊員たちの応対を終えた新免社長に、「けっこう楽しんでくれたようだ」と、笑みが浮かぶ。「工場でどんな作業が行われているのかを、知ってもらいたい。まちなかでものづくりを継続するためには、子どもたちを含めた住民の皆さんとの交流が欠かせない」と話す。「ものづくりに関心を持った子どもたちが成長して、地元の工場で働いてくれるとうれしいですね」と、期待をにじませる。 隊員たちはこれから数回の会議を経て同社のPRツールを作成し、8月に開催予定の西淀川ものづくりまつりで発表する。昨年の1期生は企業案内パンフレットを作成。パンフレットの一部は実際の見本市会場で商談に活用された。新免鉄工所担当チームでは、PR方法に関して「ユーチューブなどの動画がいい」「インターネットだと世界中で見てもらえる」などと、工場見学時点では動画志向が強かった。