宝塚記念は渋化馬場で「荒れる」可能性大! 夏のビッグボーナスをもたらすのはこの2頭だ
現役のトップホースが、申し分のない状態。(不安要素を探して)重箱の隅をつつくなら、出来がよすぎることで折り合い面がどうか、というくらい。良馬場であれば、一瞬のキレ味と底力であっさり、というシーンが想像できました。 ただし、馬場が悪化すると心配。フットワークや脚元から渋化馬場も問題はないと思うのですが、差し込みづらい馬場になると、ポジショニングや仕掛けるポイント、戦法などの修正が求められるかもしれません。その場合、同馬への信頼は揺らぎます。(馬券的には)他の馬から入る発想も出てきそうです」 そうして、吉田記者は2つのパターンを想定し、ドウデュースの逆転も狙える激走候補を2頭ピックアップした。1頭目は「ある程度前で運んで主導権が握れ、渋化馬場でも粘っこい走りができる馬」として、プラダリア(牡5歳)の名前を挙げた。 「ディープインパクト産駒は良馬場でキレ味を生かすイメージだと思いますが、例外なのがこの馬。腹袋が大きめのシルエットで、つなぎも少し寝気味でクッションに優れたタイプ。昨秋には、重馬場で行なわれたGII京都大賞典(京都・芝2400m)を快勝しました。3歳時にも重馬場の未勝利戦(阪神・芝2400m)で、後続に7馬身差をつける圧勝劇を演じています。 また、2走前には良馬場ながら芝の状態がよくなかったGII京都記念(2月11日/京都・芝2200m)を勝利。京都巧者でもあり、メンバー的に好位で運べそうなのもプラス材料です。 1週前追い切りでは、本番で騎乗しない松山弘平騎手が厩舎とのつながりで騎乗(レースの鞍上は池添謙一騎手)。今までにないシャープな走りを披露しました。馬体もあばらをしっかりと見せて、光沢を帯びた好馬体を誇示。条件が整ったここは、絶好の狙い目です」
吉田記者が推奨するもう1頭は、昨年の皐月賞馬ソールオリエンス(牡4歳)だ。「各ジョッキーが差し込みにくい馬場を意識して、有力馬のドウデュースやジャスティンパレス(牡5歳)などが早めに動く展開になった場合、台頭しそう」と言う。 「昨年のクラシックを沸かせた現4歳世代は、その後の結果が今ひとつ。そのレベル自体が疑われていますが、重馬場での消耗戦になれば、ソールオリエンスの場合、皐月賞で見せた脚力が生かされるはず。以前に比べれば、気性が成長し、折り合いもスムーズ。馬込みで我慢が利くようになったのは収穫です。 ここ最近は、のびのびと走れているわけではないので、以前のような爆発力は影を潜めていますが、1週前の追い切りの雰囲気は久々によかったです。フルゲートにならず、広いコース設定となれば、スペースを見つけてストレスなく走れる可能性も高まります。 直近のレースで振るわず、人気は急降下中。しかしその分、思いきった競馬ができます。一発狙いに徹することができる気楽さは不気味ですし、それこそが低迷打破への一因になるかもしれません」 馬場悪化で今年も波乱含みの宝塚記念。ここに名前が挙がった2頭が、夏のビッグボーナスをもたらしても不思議ではない。
土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu