【遺族年金見直し】子どもがいない配偶者は男女とも5年に?改正のポイントを解説
遺族厚生年金の見直し案
配偶者が亡くなったときに、18歳未満の子どもがいない60歳未満の人は、性別にかかわらず、5年間の支給となります。 <遺族が夫でも妻でも> 年齢にかかわらず5年間の支給 今回の見直しで割を食うのが、30歳以上60歳未満の子どもがいない妻です。現行制度では生涯にわたり支給を受けられていたのが、5年間のみとなってしまいます。しかしこれについては、段階的に20年以上かけて改正を行うとしています。そのため、現在受給中の人や現在40歳以上の女性は影響を受けないとしています。 このほかに、遺族厚生年金に加算される「中高齢寡婦加算」、国民年金の「寡婦年金」も段階的に廃止される方針です。 <中高齢寡婦加算> 40歳以上65歳未満の子どもがいない妻に上乗せで支給される制度→段階的に廃止 <寡婦年金> 所定の要件を満たす夫の死亡に際して、残された妻が60歳から65歳になるまで受給できる国民年金独自の給付→段階的に廃止
改正にあたっての配慮措置
遺族が妻の場合の5年間の有期給付は、段階的に行うことは前述したとおりですが、そのほかにも、次のような配慮措置を設けることが検討されています。 ●5年間の遺族厚生年金の額を現行制度より増やす 現行制度では、亡くなった被保険者の厚生年金加入記録に基づいて算出された老齢厚生年金額の4分の3に相当する額が遺族厚生年金額になりますが、その額に加算を行うことが検討されています。 ●年収850万円未満の収入要件を廃止する 現行制度では、亡くなった人と生計維持関係にあることが遺族の要件となっています。生計維持関係とは、死亡者と遺族が生計同一であり、かつ遺族の収入が年収850万円未満であることです。このうちの収入要件を廃止することが検討されています。これによって、有期給付の受給対象者が拡大します。 ●遺族となった配偶者の老齢厚生年金の増額 亡くなった人との婚姻期間中の厚生年金記録を分割し、その分割記録を65歳以降に受け取る配偶者の老齢厚生年金に上乗せする新たな制度が検討されています。 これにより分割を受けた者の将来の年金額が増加します。