DeNAのCS突破支えた〝移籍組〟救援陣 結果で示した「過去は変えられる」
セ・リーグ3位のDeNAが26日、2017年以来7年ぶりの日本シリーズに臨む。接戦続きのクライマックスシリーズ（CS）突破を支えたのは、計8試合で防御率1・16と踏ん張った救援陣だろう。中でも他球団から来た〝移籍組〟の存在なしには快進撃はあり得なかった。 【写真】雄たけびをあげるDeNA・堀岡隼人。1年前に戦力外を受けた巨人相手に大仕事をやってのけた 巨人とのCSファイナルステージ最終第6戦。3－2の九回でマウンドに上がった森原康平は三者凡退で試合を締めると、帽子を高々とほうり投げた。22年に楽天からトレードで加入し、今季守護神を任されてきた32歳の言葉に実感がこもる。 「僕がこのマウンドにいるのが奇跡。ベイスターズが拾ってくれたみたいな感じですから。颯（中川楓）とか堀（堀岡隼人）とか、千隼（ちはや、佐々木）とか。そういう境遇の投手からしても、感慨深いですよね」 名前を挙げたのは、自身と同じように他球団から移籍してきた選手たちだ。昨オフの現役ドラフトでロッテから移籍した佐々木は2試合、昨季限りで戦力外通告を受け、オリックスから入団した中川楓と、巨人から来た堀岡はそれぞれ3試合に登板し、いずれも失点なし。好投で起用に応え、6試合中4試合が1点差と拮抗（きっこう）したCSファイナルステージを勝ち抜く原動力になった。 プロ野球選手であれば、入団した球団で結果を残すのが理想かもしれない。だが、2022年オフに始まった現役ドラフトで細川成也（中日）や大竹耕太郎（阪神）がブレークしたように、移籍を機に才能を開花させる選手は少なくない。環境の変化、指導者との出会い、心身の充実…。理由はさまざまだが、横浜で再スタートを切った4選手も下は向かなかった。 巨人での7年間で登板18試合にとどまった堀岡は、「（周囲の）見る目も変わるし、環境も変わる。チャンスしかないと思った」と振り返る。6月にDeNAで支配下登録を勝ち取り、故障者の相次いだ終盤戦に戦力になった。 同様にオリックスの3年間で登板1試合のサブマリン中川颯も、「やっぱり後悔したくなかった」と心機一転、「純粋に野球を楽しんでやろうってなってから、いい方向に行っている実感がある」と話す。悔しさを共感できる同志が近くにいるのも心強い。堀岡は「同じ年に入った千隼さんと颯が活躍したら刺激になるし、うれしい。みんなと一緒にこのチームで勝ちたい思いが強い」と力を込める。 CSファイナルステージ期間中、森原は堀岡や中川颯らと食事に行き、語り合ったという。「『他人と過去は変えられない』って言葉があるけど、僕は『過去は変えられる』と思ってるんです。今、結果を残せば、過去にやってきたことが無駄じゃなかったってことになる。今までの挫折や苦労を全部正解にするために、今は無理やりでもパワープレーで持っていくしかないよねって」
数年前の自分なら思い描けなかったかもしれない、日本シリーズの舞台が目前に迫る。「やるだけです。やるだけ」。そう話す、森原はどことなく楽しそうに見える。苦しかった日々も、不遇の時を応援してくれたファンも…。すべてを肯定するために、結果を追い求めて腕を振る。（川峯千尋）
