糖尿病で「失明」「足の切断」しないためには何を気を付ければいいの?【医師解説】
糖尿病の治療法はどのようにして進められるのか?
編集部: 合併症が起きないよう、どんなことに注意すれば良いのでしょうか? 永島先生: 重要なのは血糖のコントロールです。糖尿病の治療では食事療法と運動療法が基本になります。食事療法では適正なエネルギー量の食事を心がける、1日3食規則正しく食事をする、栄養バランスなどに気をつける、といったことなどを行います。 摂取エネルギー量を適正に保ち、体重をコントロールすることによって、インスリンの効きや分泌能力が改善され、糖尿病が良くなり、合併症が起きにくくなります。 編集部: 運動療法ではどのようなことに気をつければ良いのでしょうか? 永島先生: 糖尿病の治療で行う運動療法には、短距離走や筋肉トレーニング(レジスタンス運動)などの無酸素運動と、ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動の2つが必要になります。 有酸素運動は摂取エネルギーを消費し、肥満を予防するために効果的ですが、それだけでなく、筋トレも同時に行うことでより効果的にブドウ糖や脂肪酸の利用を促すことができます。 編集部: そのほか、薬物療法も行うのですか? 永島先生: 必要に応じて内服薬や注射薬などの薬物療法も実施します。 内服薬にはインスリンという血糖を下げるホルモンの効きをよくする薬、インスリンの分泌を促す薬、食事から血糖の吸収を遅らせる薬、尿中に血糖を排出する薬の4つがあり、患者さんの病態に合わせて選択されます。 場合によってはこれらを併用することもあります。また、インスリンの分泌量が少ない場合にはインスリンやインスリンの分泌を助けるホルモンを自己注射で補う治療を行うこともあります。 編集部: いろいろな治療法があるのですね。 永島先生: はい。そのほかにも近年ではIPS細胞で、インスリンを作る膵臓の細胞を再生する治療法の開発が進んでいます。 しかし、どれだけ治療法の研究が進んでいても、糖尿病の合併症を予防するには食事と運動に気をつけることが大事です。医師の指示に従い、合併症の発症や悪化に気をつけるようにしましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 永島先生: 糖尿病の合併症を発症すると日常生活が大きく損なわれることがあり、いわゆる健康寿命が短くなってしまいます。 そうならないために早期にしっかりと糖尿病をコントロールする必要があります。少しでも血糖で気になることがあれば早めに医療機関への受診が良いと思います。