「痛みは、永遠に続かない。」少女の祈り 大学生が作った短編映画『ファースト・ピアス』のその後
「無力な女の子だからこそ」
みんなで借金までして制作しているそうです。ドキュメンタリーを作る大学のゼミで仲間になり、そしてドキュメンタリーだけではなく、劇映画も作ってみようと、さらに大きなチームになって続編映画を作っている。「すごいなあ、こんなことができる人の才能とはどういうものなんだろう?」と思いましたが、実は木村ナイマさん、自分のことを「無力な女の子」と言っていました。 木村ナイマさん:自分が無力な女の子だからこそ、女の子たちの声でものを作りたいというのがすごくあって。元々何もない私が、福岡にいて映画を作りたいという夢だけあって東京へ来て。でもその東京という場所が自分たちが思うような場所ではないので、それに挫折しながらも、現実と理想のギャップに悩まされることもあるけど、それでもこういう仲間が集まってきて、こういう映画を作ってそれを皆さんに観てもらえているということが、本当に信じられてなくて。無力な女の子だった私が作品を届けられることが、胸にちょっと……。もう、借金もあるし(笑) ですけど頑張っているので、ぜひ次回作も 観ていただけたらうれしいです。 私は才能をすごく感じました。『天使たち』という映画はもうすぐクランクアップするそうで、支援を求めています。
福岡出身でこんな才能を持って挑戦しようとしている、まるで映画の主人公のような、心に傷を負いながら、キラキラしながら前向きに生きている学生の姿。これ自体、ドキュメンタリーになるんじゃないかな、なんて思いました。 作品を見た西南学院大の学生さんたちは、これからドキュメンタリーを作っていくわけですが、「こんなことが同世代にできるのか」という顔で見ていました。映画『天使たち』が成功したらうれしいなと思っています。
神戸金史(かんべ・かねぶみ)
1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。報道部長、ドキュメンタリーエグゼクティブプロデューサーなどを経て現職。近著に、ラジオ『SCRATCH差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』の制作過程を詳述した『ドキュメンタリーの現在 九州で足もとを掘る』(共著、石風社)がある。80分の最新ドキュメンタリー『リリアンの揺りかご』は3月30日午後2時、TBSドキュメンタリー映画祭・福岡会場で上映予定。