名古屋難読地名の旅「吉根」「猪子石」あなたは読めますか?
愛知県名古屋市には、いろんな難しい読み方の地名がいっぱい。そんな地名を探す旅「名古屋難読地名を楽しむ」も探し続けていたら3回目を迎えた。今回やってきたのは閑静な住宅地が広がる名古屋市東部。一見簡単に読めそうでも、普通に読んだら「それは違う」と言われてしまう。さて、今回も頭をひねらなければ読めない地名の数々を紹介しよう。
「花」から「根」へと名前が変化した「吉根」
まずは名古屋市の最北西にある守山区の難読地名から。守山区は1963年に旧愛知県守山市を編入して誕生。もともと「森山」だった地名が「守山」へと転じたと推測され、今も東部の丘陵地帯を中心に緑が残る。 「吉根」は、明治時代の村名にもその名を見ることができる。「きちね」と読みたくなるが「きっこ」が正解。元々は「桔梗(ききょう)」という村名だったのが、呼び続けられるうちに「きっこ」となり、「桔」の木偏が省略され、下に「根」の字があてられたと言われる。 また守山区には「三軒家」「四軒家」という地名も。かつてこのあたりを支配していた成瀬家が、松林を看視するために建てた管理小屋の名前が起源とされ、「さんげんや」「しけんや」と読む。なお、現在は「しけんや」が正しい読みとされるが、もともとは「よんけんや」。同じく、成瀬家の家臣が20人居住したという場所には、「廿軒家(にじっけんや)」という地名が残っており、こちらもなかなか読み難い。
猪の形をした牡、牝ふたつの霊石に由来する「猪子石」
守山区から南に下ると、柴田勝家の出身地として知られる名東区がある。もともとは千種区に所属していたが、1975年に分区独立。こちらもかつては田園が広がっていたが、今は名古屋屈指のベッドタウンだ。名東区の難読地名といえば真っ先に「猪子石」が挙がるかもしれない。 正解は「いのこいし」。ただし地元では古くから「いのこし」と呼ばれており、バス停や地元の施設などには「いのこし」の呼び名も残っている。 こちらの地名は猪の形に似た霊石に由来しており、同区にある猪子石神社に牡石が、大石神社に牝石が祀られている。なお、牡石に触れることはNG。牝石は触れることで安産祈願となるそうだ。 他にも名東区には、「香流(かなれ)」という地名が。南から北にかけて地形が低くなっている「片流れ」であるため、それが転じて「かなれ」になったとも考えられている。