北朝鮮の思惑は…家族会代表・横田拓也さん語る姉・めぐみさんへの思い「待たせてしまってごめんなさい」
母・早紀江さん「今までと違う希望を持っている」
外交上の駆け引きが続く中、この動きに希望を見いだしているのは、めぐみさんの母・早紀江さんだ。 2024年3月初旬に首相官邸を訪れた際、「岸田首相と金正恩総書記との間に今までと違った緩やかな思いが重なっていくのかなと、ちょっと希望を持っておりました。岸田首相の間に、必ずこのことは動かしていただきたい」と悲痛な思いを訴えた。
早紀江さんが拉致問題解決を訴える首相は岸田首相で12人目となる。 2023年2月には入院するなど、体調を崩していた早紀江さん。拓也さんは、母の近況について「今はもう元気で心配していないが、88歳という年齢の現実には逆らえない」と語った。
2人のみとなった親世代が体調に不安を抱える中、拉致被害者家族会と救う会は解決を急ぐため、踏み込んだ決断を下した。 「親世代が存命のうちに全拉致被害者の一括帰国が実現すれば、日本が北朝鮮にかけている経済制裁の解除に反対しない」という新たな活動方針を打ち出したのだ。
拓也さんは「北朝鮮に対する思いは憎しみと悔しさと怒りしかない。今後の交渉では対話と圧力という2つの側面が要るが、岸田首相には、私たちの怒りの気持ちを忘れずに外交交渉を進めてほしい」と苦渋の決断に至った思いを語った。
姉に再会したら…「ごめんねという言葉しか出ない」
46年前の拉致を境に描けなくなった家族の思い出。そのときに止まった時計の針を進めることができるものがあるとすれば、それは家族の再会だ。
拓也さんは、めぐみさんが帰国したとき、どんな言葉をかけたいと思っているのだろうか。 「私は『お帰り』という言葉の前に『ごめんね』という言葉しか多分出ないんだろうと思っている。結果的に46年間、自由のない国で人質として拘束されている現実を変えることができていない。『本当に待たせてしまってごめんなさい』という言葉で詫びてから、多分もう、その後は言葉にならないのではないかと思っている」
4月の日米首脳会談で、バイデン大統領は日朝首脳会談への支持を表明した。 北朝鮮からのアプローチが続く今、「自身の手で拉致問題を解決する」と述べる岸田首相への期待は、かつてないほど大きくなっている。
(NST新潟総合テレビ)