北朝鮮の思惑は…家族会代表・横田拓也さん語る姉・めぐみさんへの思い「待たせてしまってごめんなさい」
早期の日朝首脳会談を目指している岸田首相は3月25日の談話について、「金与正副部長の談話については承知している。私は、これまでも金正恩委員長とのトップ会談が重要であると申し上げてきた」とだけ述べた。 また、「日朝首脳会談は早期に実現するか?」という記者団の問いに、「相手のある話。いま決まっていることは何もない」と答えている。
与正氏 日本側との接触を拒否…「焦りあるのでは」
日本と北朝鮮の水面下交渉については、2023年11月、岸田首相が国民大集会の場で「様々なルートを通じて様々な働きかけを絶えず行い続けている」と明かした以外、政府が交渉の進捗について触れたことはない。 北朝鮮側から水面下交渉が表面化したという点で、与正氏の談話は注目すべき点がある。 拓也さんは、「もしかしたら水面下交渉が日本側からの一方通行の話であった可能性が否定できない中で、肩書きが副部長とはいえ、ロイヤルファミリーの一人である与正氏が日本側の要求に言及したことで、北朝鮮の中枢部に日本側の意向や要求の内容が伝わっていることが分かった。その点においては大きな前進であろうと思っている」と見解を示した。
ところが、与正氏は水面下交渉について言及した翌日の3月26日に「日本側とのいかなる接触も拒否する」という主旨の談話を立て続けに発表した。
これについて拓也さんは、「彼らの国の中で焦りがあるということ。威嚇的表現を強めれば強めるほど、与正氏の心の内に揺らぎや焦りを見て取ることができる。彼女が進めたい方針と北朝鮮当局の中枢部が進めようとしているところに、若干の乖離や揺らぎがあるのではないか」と分析。 加えて、「北朝鮮当局は日本の政権が裏金問題などを受け、弱っているときに自分たちが主導権を握るような発言をすれば、日本が譲歩して日朝交渉に食いついてくるのではないかと読んでいる部分があると思う。ただ、岸田首相は与正氏が『政権浮揚のために拉致問題解決を進めている』と言っているような軽い発想で取り組んでいるわけではない。そこは北朝鮮当局も読み間違えないほうが良いのではないか」と言葉に力を込めた。