国際決済銀行がmBridgeの閉鎖を検討、内部からは「公共の利益」との声も
mBridge 支持派と批判派
支持者にとって、mBridgeは、特にサービスが行き届いていない地域で、従来の銀行業務を長い間悩ませてきた大きな問題点に対する潜在的な解決策となる。これにより、各国はより一般的に使用されている米ドルではなく自国通貨で支払いを決済し、分散型台帳技術を使用して取引を大幅に迅速化できる。 香港フィンテックウィークで講演したUAE中央銀行総裁顧問のリ・シュプイ(Li Shu-Pui)氏は、2月に実施したテストで、アブダビの銀行から北京の銀行にわずか10秒で送金できたと述べた。 「中東、中央アジア、アフリカ諸国、さらには南米諸国は、コルレス銀行ネットワークがこれらの国の多くをカバーしていないため、従来の銀行サービスが十分に提供されていない。これらの国の多くは十分なサービスを受けていないため、mBridgeをどのように活用できるか非常に期待している」と述べられた。 香港フィンテックウィークのBISイノベーションハブスタンドで入手できるBIS独自の資料では、mBridgeを「公共の利益」と呼び、「金融包摂の促進に役立つ」と主張している。 中国をはじめとした国々は、世界経済の脱ドル化と国際決済の異なる通貨での決済を推進するための措置を講じている。BRICSサミットでプーチン大統領は、ロシアと中国の貿易のほぼ95%が現地通貨で行われていると主張した。 しかし、mBridgeの批判者は、このプロジェクトがもたらす地政学的リスクを懸念している。米国と欧州の政策立案者は、国際金融システムが中国が開発する技術に支えられることや、米国と欧州の経済制裁を執行する能力が低下するリスクに対して警告を発している。 2022年、現在クリプト・カウンシル・フォー・イノベーションの反マネーロンダリング(AML)およびサイバーリスク政策ディレクターを務めるヤヤ・J・ファヌジー(Yaya J. Fanusie)氏は、mBridgeプロジェクトの発表は、金融システムに対する米国の影響力を維持したい米国の政策立案者に対する警鐘となるはずだと述べた。「[mBridge]は、すべての中央銀行がそうであるように、より効率的な決済インフラを求める国々だけでなく、中国のように米国の地政学的影響力を回避する方法を模索する米国の敵対国によっても構築される可能性が高い」と同氏は記している。 BISはコメントの求めに応じず、香港フィンテックウィークの現地スタッフはこの件については議論できないと述べた。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Shutterstock|原文:As BIS Mulls Shutting Down mBridge, Its Innovation Hub Calls The Project a ‘Public Good’
CoinDesk Japan 編集部