中国百度が400台の無人運転タクシー 事故発生も黒字化に自信
今年6月から武漢市内全体にエリアを拡大しており、わずか2年で様変わりした。百度は24年中に武漢での無人運転タクシーを1000台体制に引き上げる計画だ。 米国では米アルファベット傘下のウェイモが、今年6月末から無人運転タクシーのサービスをカリフォルニア州サンフランシスコで一般開放した。その台数は300台とされ、百度はウェイモを上回るペースで事業拡大にまい進する。 当然、事故の懸念はある。武漢でのサービス拡大直後の今年7月には、電動バイクとの衝突事故が発生した。無人運転タクシーが左折しようとしたところ、電動バイクと衝突し運転手は軽いけがを負ったという。百度は「電動バイクが赤信号を無視して直進してきた」と主張している。 ●事故の発生率は人間の14分の1 百度は武漢を含めた中国での無人運転タクシーの総走行距離は今年4月時点で1億kmを超えるが、重大な死傷事故は発生していないと説明する。同社によると事故の発生率は人間が運転する場合に比べ14分の1に低下するという。 実際、武漢市内では現状を不安視する声は上がっていない。サービスを利用する20代の大学院生は「無人運転タクシーは(人が運転するのに比べて)安全なのでほぼ毎日利用している」と話す。 無人運転タクシーを展開し先行投資を拡大する百度だが、黒字化へも動く。今年5月には中国自動車メーカーの江鈴汽車集団と共同でコストが約20万元(約400万円)の自動運転車の開発を発表した。現行車両から部品の調達コストを6割削減したという。さらに車両基地を自動化することでコスト削減を図る考えだ。一連の施策で25年には無人運転事業の黒字化を見込む。 「損益分岐点が近づきつつあるのを目の当たりにし、私たちのビジョンは拡張可能な現実となりつつある」。百度の李彦宏・董事長兼最高経営責任者(CEO)は、無人運転事業の黒字化に力を込める。 無人運転タクシー事業の拡大にまい進する百度だけではない。中国では百度のようなIT大手など異業種が自動運転を中心とする「SDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)」の開発を急ぐ。本連載「中国SDVの破壊力」では、中国SDVの開発最前線を追う。
佐伯 真也