秋ドラマで最も株を上げた俳優は? 最高の演技で魅了した男(5)主演を食うほどの勢い…激怒シーンで光った才能
2024年の秋ドラマも盛り上がっている。今回は、現在放送中の秋ドラマに出演する俳優をピックアップ。キャリア十分の実力派や新境地を開拓した若手の中から、今季、最も役者として株を上げた注目の男性俳優5人を選出し、その魅力を解説する。第5回。(文・平良真咲)
小林虎之介『宙わたる教室』(NHK)
主演の窪田正孝を“食う”ほどの勢いを見せているのが、定時制高校に通う柳田岳人を演じる小林虎之介だ。小林と言えば、これまで「下剋上球児」(TBS系、2023年)「ひだまりが聴こえる」(テレビ東京、2024年)など良作への出演が続くことでも注目されている。 「宙わたる教室」での小林の最初の見せ場は早々にやってくる。第一話、小林演じる岳人は文字を読むことに苦手意識を持っていたのが単なる努力不足ではなく、学習障害のひとつ・ディスレクシアではないかと窪田演じる藤竹に指摘される。そこで安堵するのではなく、岳人は悔しがり、いまさらそんな可能性があると伝えられたことに顔を真っ赤にして怒りを露わにするのだ。このときの怒りが、同僚から文字の汚さを笑われたときとは違う表現方法をしているように感じた。 前者は自分の内側へ向けられた怒り、後者は外に向かって発散する怒り。この微細な表現が、観ている者にしっかり伝わってくる。 その後、夢中になれるものを見つけた岳人は、話を重ねるごとに周囲に心を開いていく。怒りの表現も凄まじかったが、純粋に打ち込む姿は、それはそれでキラキラ輝いているから役者・小林虎之介の魅力は計り知れない。 (文・平良真咲)
平良真咲