「いろんな人とすぐに出会える」婚活ゆえの落とし穴は 「日本一婚活してきた」ライターが語る
おねだり系もけっこういた。スーツやブーツや財布も買わされた。彼女たちとは手もつなげなかった。そんな苦い体験を重ね、心はタフになり、きれいな女性とアプリでマッチングすると警戒するようになった。それでもときどきつい魔がさして、美しい女性にアプローチしてしまう。 自分にとってすべてにおいて好条件の相手などいない。自我が育ち切った40代以上は、シングルであるなにかしらの理由があって婚活市場で生息している。それは頭では分かっている。なのに、もっともっとと理想を求めてしまう。 存在しない相手を探してしまう。
出会いやすさが別れやすさに
成婚できないことには、もう一つ大きな原因を感じている。婚活、とくに婚活アプリを利用すると、かなりの確率で出会える。その“出会えること”が、実は落とし穴なのだ。 100%理想の存在などいないわけだから、交際を重ねるうちに一つニつは相手の中に小さな気に入らないなにかを見つける。 すると、交際をやめてしまうのだ。 執着しないと言えば聞こえはいいのだが、理解し歩み寄る努力を続けない。アプリでまた次を探せばいいかあー、と考えてしまう。 実際にアプリでまた出会える。しかし、次の相手にも執着しない。気に入らない点を見つけると、別れてしまう。また探す。こうして婚活の負のスパイラルに飲み込まれる。“婚活アリ地獄”だ。これにはまった男女が永遠に婚活を続け、アプリ会社やパーティー会社の売り上げに貢献する。それが、今この記事を書いている筆者だ。 積極的に婚活を行えば、出会える。しかし、婚活アプリや婚活パーティーは、正しく利用できなくては、負のスパイラルにはまる。数多く積極的にアプローチし、自我を捨て、歩み寄る努力を怠らず、自分を過大評価せず、婚活で成果を上げていただきたい。
石神賢介(いしがみ・けんすけ) 婚活ジャーナリスト。1962年東京都生まれ。婚活アプリ、結婚相談所、婚活パーティー、婚活バスツアー、婚活ハイキング、婚活料理教室、婚活座禅など、ありとあらゆる婚活にトライ。300人以上の女性と交流する。『婚活したらすごかった』『57歳で婚活したらすごかった』をはじめ著書多数。 デイリー新潮編集部
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