M-1敗者復活の注目株・例えば炎、大舞台に「ナメてかかる」? 異質な4年目の若手コンビに迫る
■ 「もう『狂った戦士』じゃないですか」(タキノ)
──例えば炎の、そういうナメてる感じがたまらないです。タキノさんのツカミ「進めー!」「言うてますけども」もナメてるじゃないですか。しかもお客さんの反応が薄いのを見て「厳しい戦いになりそうです」とか。自らどん底に落ちに行ってから漫才をスタートさせるところが、すごすぎます。 タキノ:何もしないよりは、結局スベるか、ウケるかの二択なんで。つかみはやった方がいいなと思っていたんですけど、おしゃれな丁寧なつかみはネタ的に変わってくるなと思って。よく「スベり笑いは寒い」とか言いますけど、僕らはそもそもスベり笑いかどうかも判定できないというか、「こいつらナメてるな」っていう風になるんで。「厳しい戦いになりそうです」とか、もう「狂った戦士」じゃないですか(笑)。だからいつも、刀1本で1000人と戦う気持ちでやっています。 田上:僕はタキノがツカミでなにを言ってくるか、舞台に立つまでいつも知らないんです。ネタ中に言われてないこともやられたりするんで・・・。ただたまに、僕の方から「今日はあのツカミやって、このボケやって」とおねだりすることはあります。めちゃくちゃおもしろいじゃないですか。中学の頃から一緒にゲームとかしてきた同級生が、人がいっぱいいる前で、そうやってエグいことを言ってスベってるところを見たら。
タキノ:僕はとりあえずなんでもいいんでいっぱい喋りたいし、ボケたいし、ツッコミたい。だからもし、真剣にお笑いがやりたくてNSCに入ってきて、僕みたいなやつとコンビを組んだら「なんもさせてもらえへん!」ってなるでしょうね(笑)。僕が生かされている理由は、田上がこういうメンタリティだから。 田上:タキノと一緒にいて唯一、僕の意思が動いたのは「パワプロ」(ゲーム『パワフルプロ野球』)をやっていたときくらい。シーズンオフに主力のベテラン選手を戦力外にして、タキノがめっちゃ怒ったんです。漫才では、僕の好不調とか関係ないんで。準々決勝の日も、声がガサガサやったから先輩に「どうしたら治りますか」と聞いたら、「別にお前はそのままでええやろ」って。