牧野翔矢の涙…低迷西武でキラリ光った 支配下復帰即1-0完封演出
(パ・リーグ、西武1-0日本ハム、8回戦、4勝4敗、25日、ベルーナD)お立ち台で涙がとめどなくあふれた。支配下選手契約即「7番・捕手」で先発出場した西武・牧野翔矢捕手(23)が好リードで5投手による完封リレーを演出。三回には2015年盗塁王の中島の二盗を阻止し、チームのカード頭の連敗を13、火曜日の連敗を10で止めた。 【写真】清宮幸太郎を三振に仕留めた後、一塁走者・中島卓也の盗塁を阻止した西武・牧野翔矢 「ここでしか味わえない緊張感。1軍で試合をするのはやはり楽しいな、と思いました」 24日夜に編成担当から「明日、ハンコを持ってきて」と電話があり、期待に胸が高鳴った。そして、この日の朝に渡辺GM兼監督代行から支配下選手契約とスタメン起用を伝えられ、背番号53のユニホームが間に合わず、旧背番号117のままプレーした。 2019年にドラフト5位で入団。強打強肩の捕手として期待されたが、1軍初昇格を果たした22年6月に右肘の内側側副靱帯再建術(通称トミー・ジョン手術)を受け、昨季から育成選手となっていた。1軍での出場は代走で出た22年5月5日のロッテ戦(ベルーナ)以来、782日ぶりだ。 涙があふれたのは、先輩捕手・岡田と、元西武投手の武隈祥太ファームコンディショニング担当の顔が思い浮かんだ瞬間だった。「背中を押し続けてくれたお二人」。この日も打席に入る際の登場曲に、感謝を込めて2人が使用していた曲を選んだ。 能登半島地震で大きな被害を受けた石川県穴水町出身。今年1月の帰省中、能登町にある父の実家に向かっている途中で被災し、車中に7時間も閉じ込められた。「今まで自分のことで精いっぱいだったので…。これからは地元の方の励みになるよう、1軍で活躍する姿を見せたい」と誓った。(東山貴実) ■牧野 翔矢(まきの・しょうや) 2001(平成13)年3月4日生まれ、23歳。石川県出身。小3から穴水学童野球クラブで野球を始める。遊学館高では甲子園出場はなかったが、高校通算15本塁打。西武入団4年目の22年に1軍初出場を果たし、4月6日の楽天戦で初打席初安打を記録。同年は11試合出場、打率.138、2打点。178センチ、80キロ。右投げ左打ち。年俸660万円。背番号53。血液型B。趣味はフットサル。