人間が集中できる時間はたったの5分!? 仕事がデキる人の集中力の秘訣とは?
会社に行きたくない、集中力が続かない、ついお酒を飲みすぎてしまう……。こうしたお悩みを脳科学と臨床心理学で解決してくれるのが、テレビでもおなじみ、篠原菊紀先生。篠原先生の著書『「しなやか脳」でストレスを消す技術』から、不安やストレスの多い今だからこそ身につけたい、「しなやか脳」になるためのノウハウをご紹介します。
人が集中できるのは5~15分
ぜひ知っておいてもらいたいのは、そもそも集中した状態というのは、生き物にとって不自然だということ。ある意味、危険な状態だということです。 例えば、動物が目の前にいる獲物を捕ろうと集中しているとき、その獲物だけに全神経を集中させてしまった場合、後ろから自分のことを狙っている敵がいたとしても気付かず、逆に自分が獲物となって捕らえられてしまうかもしれません。相当危険です。 何かに注目しつつも、周囲の状況を常にモニターしていなくては、弱肉強食の世界で生き残れない。 それができるような遺伝子をわたしたちは引き継いでいますから、自分の机で仕事しながらも、周囲で電話が鳴る音を聞き、上司の声に反応し、同僚の笑い声を聞き取ってしまうのは、実は極めて正しい状態なのです。分散的に注意を払え、周りに警戒網が張れている分、生き物としては極めて正常です。 しかし、残念ながら今の人間社会において、捕って食おうと背後から襲いかかってくる敵はおりません。代わりに、現代社会で生き残るには仕事ができなくてはならない、パフォーマンスを上げなくてはならない。そのためには“不自然な集中力”が大切。ほかの情報を遮断するほどの、言わば自閉的な集中状態こそ理想です。 そのような集中状態が続くのはせいぜい5分から多くて15分程度なのです。例えば、数字の列が並んでいて、隣同士を足し続けるクレペリン検査の成績を追っていくと、概ね最初は成績がいいのですが徐々にだれてきて、5分過ぎあたりからはだらだらと低成績が続きます。 そして15分くらいで休憩をはさむと、成績は一気に上昇。スタート時の成績を上回ります。でもこれも5分ほどでだれてくる。 隣の一見ものすごい集中力を持っているように思えるバリバリくんも同様です。実は集中には誰でも波がある。だから、「がんばればずっと集中できるようになるはず」とか、「集中できるコツさえつかめば永遠に集中できるはず」などと考えるのは大きな間違い。 誰でも15分も持てば上出来。それを意識してスケジュールをざっくり構想しておくことが肝要です。