『ラストマイル』塚原あゆ子監督が語り尽くす 今後の“シェアード・ユニバース”の可能性は?
『ラストマイル』の続編の可能性は?
ーー映画監督作としては『ラストマイル』が3作目になりましたが、今後は『グランメゾン・パリ』(12月30日公開)、そして『1ST KISS ファーストキス』(2025年2月7日公開)も控えていて、今後は映画に軸を置くのかなと思っていたのですが、10月20日からは演出を務められるTBS日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』も始まりますよね。 塚原:スタンスは今後も変わらないです。やりたい企画があるとして、10時間に向いているならドラマにしますし、2時間に向いてるなら映画にします。あとは配信で海外の人に向けて、ということもちろん視野に入れていきたいですし、そのあたりはフラットでいいのかなと。それこそ配信だと5話とかでもいけてしまうし、逆に20話とか長くもできるので。地上波の連続ドラマとなると、どうしても10話程度は必要なので、そこはかなり煮詰めないといけないんです。 ーー映画のほうが大変なイメージがありますが、塚原さんにとってはドラマのほうが大変ですか? 塚原:連続ドラマは短期間で撮らなければならないので、体力的な部分でドラマのほうが圧倒的に大変ですね。ドラマは最終的に広げた風呂敷を畳まなければいけないんです。10年近くやっていますが、いまだにその作業が苦しくて。それが楽しさでもあるんですけどね。逆に映画は最初の時点で最後まで見えているので、閉じていくのがラクで、ドラマみたいに散らからないところがあると思います。 ーーそれで言うと『ラストマイル』は綺麗に閉じてはいますが、“シェアード・ユニバース”ということでまだ広げられる可能性はありますよね。 塚原:配達チームの佐野親子(火野正平・宇野祥平)はいけますよね。エレナ(満島ひかり)が次にどういう仕事をするのかも気になります。野木さんに聞いてみようかな(笑)。 ーーそれは見てみたいですね。 塚原:そうやってみんなの今後を考えるのが楽しいんですよ。キャラクターは生き続けていると思いたいですし。機捜の2人がいまもどこかを走っていたら世界は平和だろうな……とか、早く六郎のUDI加入が見たいな……とか。六郎はまだ東央医大の研修医なので先は長そうですけど(笑)。 ーーちなみに塚原さんは影響を受けた映画監督っているんですか? 塚原:実は私はホラーが好きなんです。監督だとデヴィッド・フィンチャーとM・ナイト・シャマランが好きで。特にフィンチャーの『セブン』が大好きで、何度も繰り返し観ています。 ーー確かにホラー的な演出はこれまでの作品でも随所にありましたね。 塚原:台本にはないのに私が勝手に自分の好きな世界観に寄せてしまうところがあるんですよね(笑)。日本の映画監督で言うと中田秀夫さんも好きですね。 ーー塚原監督が撮るホラー映画、ぜひ観てみたいです。 塚原:自分でもホラーを撮りたいと思っていて、何度も企画書を出しているんですけど全然通らなくて……。まだ先になるかもしれませんが、いつか実現させたいと思います。
宮川翔