バス路線再編、自家用有償旅客運送も導入 奄美市 名瀬市街地のバス運賃一律化
地域の実情に応じた持続可能な公共交通の在り方を協議する奄美市地域公共交通活性化協議会の2024年度第1回会合が29日、鹿児島県奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。市内のバス路線再編と、住用・笠利地区での自家用有償旅客運送の導入を承認。奄美市地域公共交通運賃協議会も同時に開かれ、名瀬市街地のバス運賃を一律化する案などを協議し承認した。 運行形態の見直しは、運転手不足や利用者減に伴うバス事業者の経営難により、現行のバス路線の維持が困難になっていることが背景。協議を通して、市民の移動手段として欠かせない公共交通を確保する仕組みの構築を図る。市内で唯一、路線バスを運行するしまバスによると、大幅な路線再編は5年ぶりで運賃の改定は30年ぶり。 両協議会の委員は旅客運送事業者や自治会役員、行政関係者などで構成。2会合のうち運賃協議会の開催は今回が初めて。昨年10月に道路運送法が改定され、運賃を協議する際は地域住民からの意見聴取などが必要となったことを受け新たに設置した。 路線の再編では、市内の9系統を廃止し、4系統を減便。廃止区間を補う3系統を新設する。廃止・減便による日中の交通空白時間が発生する住用・笠利地区では、自治体などが自家用車を用いて運送サービスを提供できる自家用有償旅客運送を導入する。 奄美市が市社会福祉協議会(住用地区)と三井タクシー(笠利地区)に業務委託する形で運営。住用は予約制、笠利は定時運行で運賃は一律300円(小学生半額、未就学児無料)。 バス路線の運賃改定については、13~26日に市がパブリックコメントを募集。「改定は賛成。島民の移動手段を存続してほしい」「小学生の定期券代の負担増が厳しい」など8件の意見が寄せられた。 改定により、名瀬市街地の運賃は一部を除き一律200円(小児は一律100円)となる。均一運賃制の対象区間を超えた場合は従来通り距離制運賃。フリーパスや高齢者向けの定期券の金額も改定する。パブリックコメントを踏まえ、通学・通勤の定期券は値上げ幅の上限1・2倍とした。 再編・改定した路線と運賃、自家用有償旅客運送は10月1日から導入予定。しまバスは来週以降、新たな路線と運賃をホームページなどで周知する。