ホンダ・日産が大慌て「中国のEV」が世界を席巻する「揺るがない理由」…なぜ日本のクルマは敗北を喫したのか
ホンダと日産の経営統合
12月18日、ホンダと日産が経営統合することが明るみに出た。この両者が統合すると、トヨタ、フォルクスワーゲンに次ぐ、世界第三位の巨大自動車メーカーとなる。来年の6月に正式に統合する予定で、協議が進められている。 その背景にあるのが、中国のメーカーによるEVでの世界席巻である。ドイツの自動車メーカーも日本と同じ状況にある。 これまでは、日本やドイツの自動車メーカーにとって、中国は大きなマーケットであった。私は、新型コロナ流行期を除いて、毎年のように中国に行っているが、10年前には中国の富裕層はベンツをはじめとする日独の高級車に乗っていた。ところが、今は様変わりで、国産のEVが溢れ、海外にも輸出攻勢をかけている。 フォルクスワーゲン(VW)社は、製造コストの割高な国内工場の閉鎖を検討していたが、労使交渉で全工場の即時閉鎖は回避され、段階的に閉鎖することが決まった。1937年に創業してから初めてのことである。国内の6つの工場で働く12万人のうち30%にあたる3万5千人を2030年までに削減するという。 この問題は、ドイツの政治にも大きな影響を及ぼし、ショルツ政権は来年2月に解散総選挙を実施することを決めた。 EVの販売台数の世界ランキングを見ると、1位がテスラで174万9200台、2位が中国のBYDで145万2100台、3位がVWで73万1900台、4位がGMで60万4100台、5位が吉利自動車で47万8500台、6位が広州自動車で47万6100台、7位がヒョンデで39万2500台、8位がBMWで36万5900台、9位が上海自動車で29万2100台、10位がステランティスで27万9300台ある。日本勢は、日産が16位で13万3000台、トヨタが23位で8万6700台、ホンダが28位で1万9000台となっている。
中国EV成功の理由
中国EV成功の理由は、政府の積極的な補助金政策にある。 中国政府は、他の先進国の独壇場であるエンジンなどの内燃機関ではなく、2000年代初頭からEVに先行投資することにした。それが今、実を結んでいるのである。また、プラグインハイブリッド車の開発に集中しているメーカーもある。充電に時間がかかる、走行距離が短いなどのEVの欠点を補うからである。 中国のEVは低価格であり、しかも充電も自宅で簡単にでき、コストも低い。補助金については、旧型車からEVに買い換えると、今は1万元(約20万円)程度の補助金を出している。その他、渋滞を緩和するために導入されているナンバー登録の取得が容易になるなど、様々な特典がある。 このような補助政策が奏功して、中国のEVは国内のみならず、世界市場を席巻していっている。 しかし、アメリカは、9月27日に、中国製EVへの関税を従来の4倍の100%に引き上げた。さらに、EV用のリチウムイオン電池への関税を7.5%から4倍の100%に、太陽光発電設備への関税を25%から50%に引き上げた。 また、EUは、10月29日、中国製EVに対して、今後5年にわたり、従来の10%に7.8~35.3%を上乗せし、最大45.3%の関税を課すことを決めた。 欧米が、中国EVの攻勢をいかに恐れているかということである。