102歳で亡くなった世界最高齢のスタイル・アイコン、アイリス・アプフェルの生涯
「ホルストン(HALSTON)」のクリエイティブ・ディレクターであり、百貨店チェーンのニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)の元シニア・ヴァイス・プレジデント兼ファッション・ディレクターのケン・ダウニング(Ken Downig)は、以下のように振り返る。「ニーマン・マーカスのクリスマスブックのために、彼女がデザインした作品や個人的なコレクションを詰め込んだ、豪華なファブリックで覆われたトランクを作ったとき、アイリスと私を引き合わせたのはジュエリーだった。ランチを共にして数分も経たないうちに、私たちの会話は、ブレスレッドを素敵に重ね付けすることの大切さ、そしてそれが肘まであればなお良いという話題に及んだ。そしてすぐに、私たちがともに乙女座であり、完璧主義者としての呪いを引きずっていることを理解した」。ダウニングはまた、「アイリスと並んで数歩も歩けば、誰かが一緒に写真を撮りたいと声をかける。彼女は常に親切に、その願いに応じていた。アイリスは面白い人でもあった。彼女のユーモアのセンスは他の追随を許さなかった。彼女は人を惹きつける磁石のような存在だった」とも語っている。
18年に5番街のデパート、バーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)で開催されたアプフェルのポップアップショップのために、似顔絵入りのボールガウンスカートなど10点をデザインした「アリス アンド オリビア(ALICE + OLIVIA)」のCEO兼クリエイティブ・ディレクターのステイシー・ベンディット(英表記、頭大文字)は「アイリスは伝説であり、アイコンであり、ファッション界にインスピレーションを与え続ける存在だった。彼女のアクセサリー、スタイリング、洋服、そしてクリエイティビティへの愛情は尽きることがなかった。とても寂しくなります」と述べた。
彼女をきっかけとしたミームや「バズり動画」、はたまたアイリスになりすます偽アカウントまで登場した影響もあり、アプフェルはSNSについて複雑な感情を抱いていた。彼女はソーシャルメディアを「商売のための素晴らしいツール」と考えていたが、「どうして人々が、他の人たちがやっていることの細かな部分にまで興味を持つのか理解できなかった」という。彼女はSNSに対して「私にはちょっとおせっかいに思える」と18年に米「WWD」に語っていた。「SNSが若年層に与える恐ろしい影響を、そのうちに目の当たりにすることになると思う」。
2008年のWWDのインタビューの中で、彼女は次のように別れの挨拶をしている「楽しまなきゃね」。