台湾の林郁婷、ボクシングの世界大会を棄権 性別に懐疑的な主催者に抗議
(台北中央社)パリ五輪ボクシング女子の金メダリスト、林郁婷選手が、英国で26日に開幕する世界大会「ワールド・ボクシングカップ・ファイナル」への出場を棄権した。主催するワールドボクシング(WB)が、林選手の性別に懐疑的な立場を取り、林側が抗議したため。卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は27日、非常に遺憾であるが尊重するとし、今後は大会出場に関する全ての権利確保に努力すると述べた。 この日、台北市の内政部警政署(警察庁)刑事警察局で開かれた記者会見出席前に報道陣の取材に応じた卓院長は、教育部(教育省)体育署は林選手の今大会出場を非常に重視しており、英国に渡航した林選手には体育署副署長が同行していたと説明。その上で、WBは新設の団体で、機密を守るメカニズムが明確でなく、選手側が提出した情報があるべき保護を受けられていないと指摘する体育署の報告を伝えた。 また林選手のコーチは選手の医療情報を守り、不要な議論を避けるため、出場の棄権を決めたとし、体育署も尊重したと語った。 体育署の鄭世忠(ていせいちゅう)署長は同日、報道資料を通じ、林選手は現地で医学的な検査を受けることに同意したが、WB側に受け入れられなかったと主張。林選手が二次被害を受けないためにも、コーチ陣が協議の上、棄権を決めたとした。 また今後中華民国ボクシング協会医療委員会の医師に、弁護士同伴の下でWB側と協議してもらいたいとし、WBの内部統制に関するガイドラインの策定を支援し、選手の大会出場の権利を保障できることを望むと期待を寄せた。 (黄巧雯、黄麗芸/編集:齊藤啓介)