なぜ総合格闘家・石井慧のボクシングデビュー戦は2-0判定の不完全燃焼に終わったのか…ボクサーとしての実力は?
本来であれば、JBCルールにより現役の総合格闘家はボクシングライセンスは取得できず日本のリングに立つことはできないが、3年前にクロアチア国籍となった石井は、クロアチアで取得したボクシングライセンスで外国籍ボクサーとして今回の公式試合を実現した。ただ日本のリングに立つ際には、JBCがライセンスを与えるという形をとるため、ボクシング経験のない石井には、いわゆるC級の4回戦しか許可されなかった。この内容と、ボクシングスキルであれば、海外でボクシングの試合を重ねない限り、一足飛びに、日本王者となった但馬への挑戦は認められることはない。 異例の挑戦だった。石井は、改めて「挑戦した理由の一番はやってみたい。一回、触ってみたいという好奇心。車好きの人が車を見たら乗ってみたいと興奮するでしょう、それに似ていると思う」という。 不完全燃焼に終わったが、その石井のボクシング熱には、さらに火がついたようで「楽しかった。ボクシングは奥が深く、(組織が)しっかりしているスポーツ。息子にやらせたい」とまで言う。 今後は、復帰した世界最強グラップラーのゴードン・ライアンのADCCキャンプに合流予定。石井自身も総合での次戦が決定しているようだが、J外国籍でルールをクリアしているとはいえ、JBCが他競技である総合格闘家の参戦にアレルギーを持つだけに「今後のボクシング以外の予定?そこは聞かないでください」と多くを語らなかった。 ただボクシングへの継続挑戦は続けたい意向。 「成長できる相手とやりたい。機会をもらえればやりたい。クロアチアではすぐ組めると思う」 体力面での土台はあるだけに35歳にしてボクサーとしてのノビシロはある。ボクサー「サトシ・イシイ」が“塩試合”をどの段階で脱するのかに注目したい。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)