新大関大の里、八角理事長視察の秋巡業で地元・石川に凱旋 温かな声援に「すごいパワーをもらった」
9月の秋場所後に昇進した新大関大の里（24）が、故郷の石川県での巡業に大関として初めて参加。凱旋（がいせん）の土俵に立った。先輩大関の琴桜（26）、豊昇龍（25）との3人で、今巡業初の大関同士の申し合い（勝った者が何度も取る稽古）を行い、4勝3敗だった。日本相撲協会の八角理事長（元横綱北勝海）も、北海道以外の巡業では初めて視察に訪れた。 大関同士による初の申し合い。張り詰めた空気に、さらに重厚感が加わった。八角理事長の厳しい視線が注がれていた。 2大関相手に3連勝を含む勝ち越しとした大の里。「番数は少なかったけど、緊張感はあった。これからこういう稽古にも慣れていかないと」。 八角理事長が地元・北海道の帯広（平成30年）と札幌（令和5年）以外の巡業に足を運んだのは初。視察は昇進前から決まっていたが、観客には新大関への期待の表れと思われたようで「大の里～、理事長が見ているぞ！」との声援も飛んだ。 「新しい大関ができて先輩2人は焦らないといけない」と八角理事長。昭和以降最速となる初土俵から所要9場所で大関へ昇進した大の里を起爆剤とした競争に期待する一方、大の里には「もっとぶつかり稽古をやって膝を鍛えないと」と、いっそうの精進を求めた。 凱旋（がいせん）巡業の前売り券は発売後すぐに完売し、4700人収容の会場は満員に。大の里の父・中村知幸さん（48）、母・朋子さん（48）ら親族も姿をみせた。 大の里は会場から車で30分ほどの津幡町出身。能登地方が記録的大雨に見舞われた秋場所14日目の9月21日には地元へ思いを込めて2度目の優勝を決めている。「自分の相撲を見てもらって、頑張っている姿を見せて、少しでも勇気を与えられたら」。元日に起きた能登半島地震の傷あとも深く残る故郷への、いちずな思いを口にした。 地元の温かく盛んな声援を受けて「たくさんの方々におめでとうと言っていただき、本当にうれしかった。すごいパワーをもらった」。満面の笑顔で語った。（奥村展也）
