地方議員「なり手不足」は議員報酬アップだけで解決しない
下がり続ける地方選挙の投票率
「主権」とは国家統治における最高権力です。日本の主権は私たちにあります。この「国民主権」が大前提となり、日本各地の地域、自治体の運営も住民が基点となります。しかし実感として、自分が暮らす市や町や村、あるいは都道府県の運営について、あなたがどのくらい基点となっているでしょうか? 現在の地方自治を、私は以下のようなイメージで捉えています。
この図でもっとも太く、双方向なのは、国・県と自治体(役所)の間のコミュニケーションです。2000(平成12)年に行われた地方分権改革によって、国と地方自治体は「上下関係」ではなく、「対等な関係」であることが明文化されました。しかし実際は今も、国の各省から命令ではなく「要請・依頼」という形で、自治体(市役所や町村役場)に仕事が降ってきています。 住民は形としては基点ですが、意思表示の機会は、議会や首長選挙の投票、または意識調査への回答といった一時的なものに限られています。現実として、地方自治の現場は、住民の方を向いているより国の方を向いている方が仕事を進めやすい状況になっています。 こうした構造の下では、住民基点の地方自治はなかなか実現しません。それならもっと住民の方を向けばいいじゃないか、と考える人も多いと思いますが、どこかの会館や集会所で住民との対話ミーティングを開いても出席できる人は限られています。また、その成果を全住民に知らせる方法もとても限られています。あなたは住んでいる自治体の広報を読んでいますか?
住民基点、住民自治といっても、コミュニケーションのあり方は、憲法や地方自治法が成立した71年前から基本的に一方通行であり、大して進化していません。このことが、住民の地域への無関心や、やる気の低下を招いていると私は考えます。 このグラフは、戦後の地方選挙における投票率の変化です。かつて投票率は70%台から90%台までありました。最初の統一地方選挙は戦争が終った2年後に実施されました。ここには「社会のことを自分たちが参画して決められる」という期待感があったはずです。しかし、最近の投票率は40%台まで落ち込んでいます。20~30%台の投票率も珍しくありません(千葉県市川市の選挙では、票数が有効投票率の4分の1に届かず再選挙となりました)。ほぼ半減しているのです。