「観測史上最も暑い日」が7月に2日連続で更新される、地球はどこまで暑くなるのか?
地球の歴史を俯瞰、真の「温室化」時代はやってくるのか
2024年7月22日、世界の平均気温は17.16°Cとなり、観測史上の最高記録を更新したと、欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」が発表した。なお、2番目に暑い日は前日の7月21日だった。 ギャラリー:人類が地球を変えてしまったと感じる、空から撮った絶景 写真23点 国連は1940年代から地球の気温を測定しているが、木の年輪や氷床コアの研究によると、千年の単位でも見られない速さで気温が上昇している。 だが、地球の歴史をさかのぼれば、もっと暑い時代はあった。そして将来、再びそういう時代がくるだろう。その暑い時代は「温室期(ホットハウス・ピリオド)」と呼ばれる。現在の南極にあるような氷床が地球になかった時代で、大気中に温室効果ガスが過剰に供給され、地球の気温は現在よりもはるかに高かった。 今のところそこまでは達していないが、人間が排出する炭素は地球の気候を変え、熱波はその頻度と激しさを増している。地球は近い将来、金属の溶けるほどの高温にはなりはしない。だが、今世紀のうちに、人間の限界が試されるような暑い日はより頻繁に発生すると科学者は言う。 そして、非常に遠い将来、地球は実際に金星のようになるかもしれない。
灼熱の過去
意外に感じる人もいるだろうが、地質学者に言わせれば、地球は現在「氷河時代(氷室期)」にある。その中で、極地の氷床が増えたり減ったりという「氷期/間氷期」のサイクルを繰り返している(今のところ、北半球の氷床は、グリーンランドまで後退している)。今よりはるかに暑い世界とはどのようなものなのか、それを垣間見るためには、少なくとも5000万年前の始新世初期にさかのぼる必要がある。 「それは、地球が本当に温室化していた最後の時期です」と、米アリゾナ大学の古気候学者ジェシカ・ティアニー氏は話す。 現在、地球の平均気温は15.6℃前後だが、始新世初期には21.1℃ほどだった。地球は、別世界だった。極地に氷はなく、熱帯の海は35℃もあり、まるで温泉のようだった。北極にはヤシの木が生い茂り、ワニがうろついていた。 さらに過去へさかのぼれば、より極端な温室期もあった。9200万年前、白亜紀の超温室期には、地球の表面温度は約29.4℃に上昇した。この高温の時期は数百万年も続き、南極の近くには温帯雨林が繁茂していた。 米スミソニアン協会の予備研究によれば、2億5000万年ほど前、ペルム紀と三畳紀の境には、極端な地球温暖化現象が発生し、地球の平均気温は32.2℃前後を推移する期間が数百万年も続いた。 その地獄のような時代に、地球は史上最悪の大量絶滅を経験した。熱帯の海は熱い風呂のようだった。ペルム紀の日々の気象データは知る由もないが、超大陸パンゲアの乾燥した内陸部では、熱波は日常茶飯事だった可能性が高い。 「平均気温が高いほど、極端な熱波がより頻発するようになります」と、ティアニー氏は話す。