【安田記念】過去2年の敗戦を覆す超進化!6歳にして〝今が旬〟ソウルラッシュ狙いすました一戦で頂点へ
[GⅠ安田記念=2024年6月2日(日曜)3歳上、東京競馬場・芝1600メートル] 【写真】〝弾丸の走り〟を見せた1週前追い 連覇したソングラインをはじめ、シュネルマイスター、ソダシといった強豪マイラーがターフを去ったことで、春のマイル王を決める第74回安田記念(6月2日=東京芝1600メートル)は混戦模様。その隙を突くように、今年は香港の実力馬2頭が電撃参戦してきたが、迎え撃つ日本馬に“絶対王者”が不在でも心配はいらない。6歳にして進化を続けるソウルラッシュ(池江)が円熟の時を迎えているのだ。 前哨戦のマイラーズカップを経て、この大一番に向けた調整過程は順調そのもの。「磨きがかかっている」と池江調教師が思わず笑みをこぼしたのが、16日にウッド単走で行われた2週前追い切りだ。最後は追われると鋭い伸び脚を披露。ラスト1ハロン10・7秒は自己ベストだった(6ハロン82・2秒)。 さらに22日の1週前追い切りは、それを上回るくらい豪快な動き。水口(レースはモレイラ)を背にウッドでスペクトログラム(古馬2勝クラス)と併せ馬。3馬身追走からスタートするとグングン差を詰めていき、直線で一杯に追われるとラストは僚馬を4馬身突き放した(6ハロン81・5ー10・9秒)。見守ったトレーナーも「1週前なのでしっかり負荷をかけました。しまいまで集中していて、はじけるような走りっぷりでしたね」ともろ手を挙げて称賛していた。6歳という年齢からは衰えも懸念されるが、状況は真逆。充実一途どころか、進化さえうかがえる。まさに“今が旬”と呼べるデキだ。 気がかりなのは安田記念の過去2戦において、13→9着と成績がとことん振るわない点。その理由とは? トレーナーに尋ねてみると…。「阪神や中山のような一瞬の坂はこなせるけど、直線のダラダラと続く坂が苦手なんでしょうね。ギアが上がらないまま終わってしまう」。どうやらコース形態に原因があると考えている様子。ならば今回も府中のストレートを前にして、ソウルラッシュの豪脚は不発に終わってしまうのか? トレーナーの答えはノーだ。 「去年の春よりも状態がだいぶいいですよ。普通なら年齢を重ねてズブくなってくるけど、この馬は前向きになっています。レースの幅が広がっているし、出遅れてもいい脚を使ってくれる。今年は動きがいいですからね」(池江師)。今の充実ぶりならば、その逆風をも押し返せるだろうという算段だ。 今年は香港の超大物ロマンチックウォリアーと、昨年12月の香港マイルで先着されたヴォイッジバブルも参戦してくるが、“狙いすました一戦”という意味ではこちらが上。マイラーズカップの前から上半期の最大目標を「安田記念でのタイトル戴冠」として、ゆったりとしたローテーションを組んできた陣営のもくろみ通りに円熟の域に達したソウルラッシュが、その“魂”身の走りで春のマイル王に輝いてみせる。
明神 瑠