「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」優勝は15歳の岡村梨央、6回で3回優勝STU48強さの源泉とは?
今月23日に開催された「第6回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」。そこで初優勝を飾ったのは、瀬戸内を拠点とするSTU48の岡村梨央だった。この2008年生まれの15歳は、全国的にはまったくの無名。ところが、審査員も絶賛する戴冠劇だった。いったいなぜ彼女は優勝できたのか――。 【写真】STU48・7周年ツアー千秋楽の様子【12点】 岡村梨央は昨年も「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」に出場していた。予選を5位で通過して決勝へとコマを進め、6位入賞で大会を終えた。 そして、今年。第6回大会が開催されるまでの間を岡村はこのように過ごしてきた。 岡村「小さい頃から低音が強みで、(今大会は)高音もしっかり出せるように、高い声を出しながら、たくさん練習しました」 大会終了後の会見でこう明かした岡村。練習の成果を見事に発揮し、15歳にして新女王となった。STU48からは第3回、第5回大会で優勝している池田裕楽に続いて2人目。同グループとAKB48を兼任していた岡田奈々(第4回大会優勝)を含めると3人目となる。 なぜSTU48には歌唱力があるメンバーが揃っているのだろう? 優勝経験がなくても、決勝大会に進出したことがあるメンバーは今村美月、峯吉愛梨沙、小島愛子ら11人いる。これだけ歌唱に自信があるメンバーがいることは、単なる偶然ではなさそうだ。 優勝経験者・池田裕楽と岡村梨央の共通点。それは、アクターズスクール広島(ASH)に在籍していたということだ。その2名だけではなく、今村美月、峯吉愛梨沙といった決勝進出者の多くはASH出身なのだ。 その点について会見で質問してみた。 岡村「アクターズは、個人がどう頑張っていくかで成長も変わっていくから、自分の頑張り次第というところはあるんですけど、アクターズで教えてもらったこともたくさんあるので、それを活かせているのかな」
アイドルの梁山泊
岡村は小1の秋にASHの門をくぐった。ミュージカル経験者の母が探してくれた。今大会前も母が練習に付き合ってくれた。 岡村「よくカラオケに行って、録音して一緒に聴いて、『ここはこうした方がいいよ』と教えてくれます」 身内の支えとスクールでの教えが今回の快挙につながったようだ。 ASHとは、1999年に開校した芸能スクールで、広島校と福山校の2校がある。卒業生にはPerfume、中元すず香(元さくら学院/BABYMETAL)、鞘師里保(元モーニング娘。)、中元日芽香(元乃木坂46)、山本杏奈(=LOVE)など、錚々たる顔ぶれが並んでいる名門だ。 大会を2度制している池田はアクターズでの教えをこう振り返ったことがある。 池田「アクターズには中2から高1の頭まで通っていました。私はボーカルとダンスを90分ずつ練習していました。ボーカルの授業で歌うのはもちろんですけど、ダンスの時間も歌いながら踊るんです。それが基本でした」 180分も歌い続けていると、声にスタミナがつく。池田の場合、さらに別の先生にボイトレを習っていた。そりゃあ強いわけだ。 STU48のASH出身メンバーは、スクールで土台を築いてからAKB48グループという表舞台に顔を出し、そこでさらに腕を磨く。そして、「歌唱力No.1決定戦」に臨むにあたって、自分の歌いやすい楽曲を選び、一音ずつ丁寧に仕上げてくる。歌と向き合ってきた時間が他のグループのメンバーより長いから、自ずと結果が出る。 2021年から翌年にかけて、STU48はASHと組み、オーディションを開催した。ASHに通うスクール生がSTU48に入れるという形のオーディションだった。4人が合格したのだが、そのうちの一人が岡村だった。STU48とパイプがあることもスクール生のモチベーションになっている(ちなみに、そのオーディションで3次審査まで進んだのが、現SKE48の12期生・奥野心羽。奥野は同期で最初にアンダーデビューしている)。 全国に逸材を輩出し続けるASHは、いわばアイドル版の梁山泊。今後もアイドル業界に確かなスキルを提供してくれるだろう。
犬飼 華