朝6時から行列「パチンコ天国」で「ギャンブル」しない人たち
「なーんもないもんねぇ」
轟音とたばこの煙が充満する店内で、客たちは誰と話すでもなく、ただじっと画面をのぞき込む。客の服装は、「部屋着」に近く、女性でもジャージー姿にクロックスのサンダルという組み合わせが珍しくない。 年齢層は高く、一目で20代と分かる人は少数だ。昼前、7時から「1パチ」を打っていた若いカップルが外に出てきた。男性は普段工事現場で働いている。「いつも朝早いんで、土日も朝からさくっと遊んでます」。午後はゆったりと過ごすという。「同世代はみんな(石巻の)イオンか、仙台じゃないですか。もうちょっと暖かくなったら、僕らも釣りに行きたいんですけどね」。そう言って、2人は軽自動車に乗り込んだ。 午後1時過ぎ、ある店舗の食堂で、大正14年生まれの女性に出会った。今年で91歳。若くして夫を亡くし、女手一つで子どもを育ててきた。そんな彼女の数少ない楽しみがパチンコ。キャリアは60年になる。「5時間くらい打って、カラオケに行くのが好きでよ。トータルでもあんまり負けてねぇよ」。快活に笑って、カツカレーを頬張る。どうして、パチンコを打つの? 「楽しみがないもんねぇ」と笑う。一瞬考え、また「なーんも楽しみがないもんねぇ…」。食後、彼女は「話しかけてくれてありがとう」と言って、台に戻っていった。 ◇パチンコの営業時間 パチンコ店の営業時間は「風営法」で、原則「日の出」(2016年6月からは法改正により午前6時)から「午前0時」(一部では午前1時まで可)までと定められている。実際は、都道府県条例でさらに制限されていることが多く、店舗同士の取り決めや営業判断で短くなっている場合もある。東京都や大阪府では、最長でも午前10時から午後11時までの営業しか認められていない。 (この記事はジャーナリストキャンプ2016石巻の作品です。執筆:園田昌也)
園田昌也