朝6時から行列「パチンコ天国」で「ギャンブル」しない人たち
パチンコ界で流行する「低レート」
パチンコ業界では2006年ごろ、「1パチ」や「5スロ」と呼ばれる低レートの台が登場した。同じ金額で、より長い時間打てることから人気を集め、今やほとんどの店舗に台が置かれている。より低レートの台も生まれ、石巻には「ジョイパーク」のほかにも、「2スロ」に力を入れる店や低レートだけの店などがある。 試しに、「エンジョイスロット」(1スロ)に1000円を入れてみた。すべてのメダルを使い切るのにかかった時間は、なんと70分。大量のメダルは、「ドル箱」を使わないと下皿からあふれてしまうほどだ。ベトつくメダルを何度も投入するため、指先が疲れてしまった。一方、「エンジョイパチンコ」は50分。どちらも当たりが出れば、もっと長い時間プレーできる。 この日、午前7時から閉店の午後11時50分ごろまで1スロを打った40代男性(建設業)は、「トータル4000円投入して、とんとんでした」と話す。運が良ければ、最初の1000円で1日中遊べることもあるという。「少ない投資で店との勝負も楽しめる。そういう刺激もありますね。数千円で1日遊べるなら儲けもんだと思いませんか」。 仮に当たらなくても、アイドルやアニメ、映画などを使った派手な「演出」が客を飽きさせない。夫・息子と一緒に週1回は来るという70代の女性は、「私は打たないけど、見ているだけでも楽しいの」と上品に笑う。足が悪いという彼女は、休憩も交えながら杖をついて店内をゆっくり歩き回っていた。 これに対し、一般的な20スロや4パチの場合、当たりがなければ1000円がものの数分で消える。別の店で出会った60代の男性は、「金持ちは4パチ、俺ら貧乏人は1パチ」と自嘲する。「30分でなくなることもあるけど、3000円ありゃ大体3時間くらい遊べっかな。『マクロス』が良いんだよ」。 こうした石巻のパチンコ文化は、県外の人には「ぬるい」と映るようだ。今年引っ越して来たばかりという福岡県出身の30代男性(地盤改良業)は、10数年前、スロットだけで年間300万円以上を稼いでいた凄腕。 「地元の人は低レートの台ばっかり打ってますよね。激アツ演出を外しても、『ふーん』って顔しているし、俺らからしたらありえない。こっちとしちゃ、台が選び放題なんで良いんすけど」