パチンコホール、黒字企業が52.5%まで回復も二極化進む。「新台導入」と「新紙幣対応」がカギ
2023年は過去最大の倒産が発生
2023年はパチンコホール運営業者にとって、コロナ禍で悪化した事業環境が改善した1年だった。特に新しくリリースされたスマートパチスロ(スマスロ)のヒットにより、遊技を楽しむファンがホールに戻るなど集客に苦戦していたホールの救世主ともなった。 しかし、業界全体からみればコロナ禍で大幅に落ち込んだ来客者数の改善は一部の業者に限られ、ファン離れの傾向について抜本的な解決には至っておらず、業界が抱える大きな課題の一つとして積み残されたままだ。 2023年は過去最大の倒産<(株)ガイア、民事再生法、負債943億5500万円>が発生したほか、コロナ禍で赤字に陥り、新台入れ替えなど設備投資資金を賄えず、廃業を決断する業者も散見された。しかし、倒産件数は集客力の回復や事業譲渡などが進み、24件(前年は34件)と減少に転じている。 帝国データバンクでは、企業概要ファイル「COSMOS2」(147 万社収録)の中から、2018 年~2023年の各年において業績が判明している「パチンコホール経営法人」を抽出。法人数や売上高合計、損益について調査・分析した。前回は2023年6月22日に発表。
売り上げは下げ止まりの兆しも、法人数は大幅減少
2023年、売り上げが判明したパチンコホール経営法人数は1336社となった。2022年より172社(11.4%)少なく、2018年の2192社から5年間で856社、約40%減少した。 2023年の総売上高は11兆1525億円となり、対前年比で1.9%減少した。コロナ禍の2021年は、休業要請等、通常通りの営業活動ができなかったことにより対前年比23.6%の大幅減少となったが、経済活動が回復するにつれて減少幅は縮小している。 社数が大幅に減少する一方、総売上高が微減にとどまっているのは、店舗の売却・買収が進み運営法人の淘汰が進んでいること、コロナ禍の収束やスマスロのヒットにより売り上げを回復させている業者が一定数あることが考えられる。