<ネット党首討論>(3)集団的自衛権をどう見るか?【全文書き起こし&動画】
安倍:はい。歯止めというのは、先ほど、山口代表がおっしゃったように、3要件、明白な歯止めがあります。わが国の生存、あるいはさまざまな諸権利が根底から覆される、明白な危険がある際にしか行わないということであります。 また、先ほど志位さんがおっしゃいました。志位さんが例として挙げられたのは、繰り返しになりますが、集団的自衛権の行使ではなく、集団安全保障の中で何をするか、ということでありますが、その際にも先ほど申し上げましたように、戦闘行為に参加する、あるいは武力行使をすることを目的に参加をするということは決してないということでありますし、もし、戦闘現場になれば直ちに撤退をするということは明白であります。そういう意味においては、ちゃんとラインは決まっている、歯止めは決まっているということは申し上げておきたい。このように思います。 いずれにせよ、われわれは日本人の命と幸せな暮らしを守るための、これは閣議決定であり、そしてこれから進めていく法整備はそのための法整備であります。 角谷:江田さん、いきましょうか。 江田:確かに7月閣議決定、私も読みましたが、究極のもう官庁文学というか、玉虫色決着で、あの何ページにもわたる文章に、集団的自衛権という言葉は1カ所しか出て来ない。問題はもっと国会で議論させてくださいと。もっとそういう歯止めとかいろんな基準等を議論させていただきたい。ですけれども、それはされていない中で、自民党、公明党の間にはいわゆる集団安全保障への考え方、さらにはホルムズ海峡の機雷掃海の考え方について違いがあると言われています。 しかしこれは、われわれ野党はなんの自衛隊指揮命令権限、持っていません。与党というか、官邸、安倍総理が持っておられる。その中で与党の立場に違いがあるということは、危機はいつなんどき降りかかるか分かりませんし、それに対応するときにそれから議論しようじゃ困ります。その法案の整備とかがまったく今、行われてない。この国会にも出て来なかった。そして来年の統一選だと、領域警備法のような、われわれも作りましたけど、グレーゾーン対応の法案も出て来ない。これは本当に残念なことだと思っています。 角谷:山口さん、いきましょう。 山口:先ほど小笠原の話が出ましたけども、これは尖閣の問題とは違います。領土の問題は関係しておりません。そして外国の漁船がサンゴの密漁に来ましたけれども、中国船と思われるものが多かったですから、事前に中国側とやり取りをして、これは中国から見ても違法なことである。日中協力して取り締まりを強化する。こういう了解の下に、取り締まり強化をする法律を全党で一致して、これを作ったわけであります。一斉に海上保安庁と水産庁、これは警察権を行使して取り締まりを強化する。そういう枠組みの中で一斉取り締まりをしまして、外国漁船はゼロになりました。こういう実績をすでに生んでいるわけでありまして、自衛隊はまったくここには関与しておりません。そういう解決が求められる場合があるということ。ここはよく見抜いていかなければならないと思います。 角谷:小沢さんいきましょう。 小沢:紛争、戦争の個々の事例について、事前にいろいろ予測できるものではないと思います。ですから、私は自国が攻撃を受けたときには、それはもちろん自衛権に基づいて反撃するということは当然ですけれども、他国の紛争については、例えそれが後方支援であろうが、なんだろうが、さっき申し上げましたように、後方支援というのは武力行使の最大の要因なんですね。要因と言いますか、大事なことなんですね。兵站線が続かなければ戦争はできないんですから。ですから、後方支援がどうだとか、危険性がどうだとかという仕分けの仕方ではなくして、他国の紛争についてはあくまでも国連の平和活動に日本は積極的に協力すると。そういう仕分けの仕方をすることが一番明白だと私は思います。 角谷:海江田さん。 海江田:私は安倍総理の隣に座っていますと、安倍総理の発言がよく聞こえるんですね。この集団的自衛権の問題で、明白な危険がある場合と、それから明白な危険の恐れがある場合ということを使い分けをしているんですよ、実は。もちろん、言うまでもありませんけれど、閣議決定の中では明白な危険の恐れがあるということですから、ここが1つ、やっぱり曖昧だということです。 それからさっき、江田さんがお話ありましたけど、やっぱり与党の自民党と公明党の間で、今まさに、選挙の共同公約というものを作っているわけですが、じゃあこの集団的自衛権の問題について、ちゃんと共同的な公約ができているのかっていうと私はできてないと思うんですね。まさにこの政権与党の両党で、しかもこれからちゃんと法整備をするんだ、法律を国会に出してくんだ、というときにやっぱり与党がどういうスタンスなのか。ということは、やっぱりこれははっきりさせてもらわなければいけないわけですから、その点をぜひお聞かせをいただきたいというふうに思います。 角谷:では山口さん。 山口:先ほどの、明白な危険があるかどうかについては、7月14日、15日の予算委員会集中審議で、内閣法制局長官の答弁と安倍総理大臣の答弁は一致しております。明白な危険があるかどうかというのは、わが国に戦禍が及ぶ蓋然性、そしてわが国の国民が被ることとなる犠牲の深刻性、重大性、これを客観的、合理的に判断をする。こうやって答弁しているわけです。そしてまた他国に対する攻撃があった場合であっても、わが国に攻撃があった場合と同様の国民に対する被害の深刻性、重大性があった場合であると。これも一致した答弁になっているわけです。ここが大切な部分でありまして、これを基にこれから安全保障の法的整備をやろうと。ここは与党として一致しておりますので、ご心配なくこれから丁寧に議論を進めたいと思います。 角谷:ではこれは最後の質問になります。じゃあ、志位さんで終わります。 志位:総理が歯止めがあるのだということをおっしゃいました。しかしこれまでの政府の見解というのは、日本が武力行使できるのは日本に対する急迫不正の主権侵害があった場合だけだと、発生した場合だけだと。それ以外の武力の行使、つまり一般に、海外での武力の行使はできませんという、これがもう政府の見解だったわけです。これを変えちゃっているわけですよ。この歯止めを外したわけです。ですから先ほど言ったように、湾岸戦争やイラク戦争の場合も、これまでは武力行使をしてはならない。戦闘地域に行ってはならない。これは歯止めがあったわけですけれど、この2つの歯止めがもう外れてしまっている。歯止めを外して海外での戦争への道を開くのが、今、行われていることの本質だと思います。 角谷:ここで。 安倍:ちょっと。 角谷:じゃ一言、お答え短くお願いします。 安倍:先ほど山口代表が述べられたことで全てが尽きているのですが、自民党と公明党、全く一致をしています。でなければ閣議決定ができない、これははっきりしています。そして山口代表がおっしゃったように、まさにわが国に対する侵略、侵害と同じ規模の侵略、被害を受ける場合じゃなければ、集団的自衛権の一部行使は行わない、武力行使は行わないということははっきりしていると。これほどの歯止めは、世界中ではないだろうということを言っていますよ。