<ネット党首討論>(3)集団的自衛権をどう見るか?【全文書き起こし&動画】
衆議院選の公示を12月2日に控え、「ネット党首討論」(ネット事業者7社「わっしょい!ネット選挙」主催)が29日夜、都内で開かれた。8党党首が「安倍政権2年間の評価」「経済政策」「安全保障」などをテーマに議論した。 【全編動画】ネット党首討論「安倍政権2年」「経済政策」「安保政策」で論戦 自民党の安倍晋三総裁、民主党の海江田万里代表、維新の党の江田憲司共同代表、公明党の山口那津男代表、次世代の党の平沼赳夫党首、共産党の志位和夫委員長、生活の党の小沢一郎代表、社民党の吉田忠智党首が出席した。
■全文書き起こし
------------------------------------------------------ 角谷:はい。経済政策はさまざまな側面もありますけれども、この辺で時間の都合上、終わらせていただきたいと思います。 続いての討論はこちらのテーマです。安全保障政策です。これは討論の皮切りに、今度は社民党党首の吉田さんからスタートしてもらいましょう、吉田さんお願いします。 吉田:はい。7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定は、私は撤回すべきだと思っております。その閣議決定の眼目は大きく2つありまして、1つは限定的な集団的自衛権の行使ということでございますが、数少ない国会の議論の中でも限定的では済まないということは明らかになっております。 もう1つがいわゆる武力行使の一体化論の緩和、現に戦闘が行われていなければ海外での後方支援は可能にするということでありますから、これはアメリカと一緒に戦争に巻き込まれる可能性も出てくる。そして、集団的自衛権行使容認の閣議決定のそもそもの内容は、1981年の集団的自衛権行使容認はできないという文脈の中でそれを改ざんしたものと、当てはめと言ったそうでありますけれども、非常にあいまいな形での閣議決定になっております。従って自民党と公明党でも解釈は分かれる。あるいは政府部内でも内閣法制局、外務省で綱引きが行われていると。そしてあいまいな閣議決定は撤回すべきだと思っています。 角谷:はい、ありがとうございます。さあ、安全保障政策ですけれども、皆さんからいろいろ活発なご議論いただきたいと思いますけれども。じゃ、安倍さんからいきます。 安倍:今年の7月1日の閣議決定というのは、まさに日本人の命と、そして幸せな暮らしを守るための閣議決定であります。いわゆる集団的自衛権行使容認、一部を認めたのは、例えば国の存立が危うくなり、自由や民主主義、生存権といったこの権利が根底から覆される恐れのあるとき、明白な恐れのあるときに行うというものでありました。そういうときに日本の持っている権利を行使しないのは、むしろそれは怠慢であろうと、このように思っています。近隣諸国で動乱があって、そこから逃れようとしてくる日本人を輸送している米艦を果たして自衛艦が守らなくていいのかどうかと、そういう現実の問題であります。そのための閣議決定であると。当然それに基づく法制、来年の通常国会で行っていきたいと思っています。 角谷:じゃあ、志位さん、いきましょう 志位:集団的自衛権行使の現実の危険がどこにあるかと。国会論戦を通じて、2001年のアフガニスタン戦争、2003年のイラク戦争のような戦争をアメリカが起こした際に、自衛隊が従来の戦闘地域まで行って軍事活動することになる。このことを総理はお認めになりました。自衛隊、攻撃されたら武器の使用をすることになる。このこともお認めになった。ですから、集団的自衛権行使とは、日本の国を守ることでも日本の国民の命を守ることでもない、アフガン、イラク戦争のような戦争で米軍と自衛隊が肩を並べて戦争すると。海外で戦争をする国づくりだということは国会論戦ではっきりしたと思います。私たちは憲法の9条を破壊するような集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を求めます。国民の目、耳、口をふさいで戦争に動員する秘密保護法はきっぱり廃止にということを求めていきたいと思います。 角谷:平沼さん、いきましょうか。 平沼:私どもは、やはり憲法解釈によって、集団的自衛権っていうのは必要だと、こういうことで党も意思を決定しているわけであります。憲法の前文にあるように、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」する。現実の世界ではそんなものはありません。ですから、なんでも戦争に巻き込まれるから、アメリカの戦争に巻き込まれるから危険だ。こういうことじゃなくて、要は日本国として絶対に侵略戦争はしない。そういう形で安全と平和を、いわゆる軍国主義になるという形じゃなくて、しっかりと担保していく。こういう姿勢が私は必要だと、このように思います。 角谷:はい、小沢さん、いきましょうか。 小沢:日本の安全は日米同盟と、そして大きくは国連の平和機能と、この2つによって平和を守っていくべきだと思います。それぞれの国は集団的であれ、個別的であれ、自衛権を持っているということは、もう国連憲章にも書いておりまして、私は日本国憲法も同じ解釈だと思います。 ただし、日本国憲法で違うのは、第9条がありますから、これは日本の国が直接攻撃されたりなんかしたときじゃない、その他の国際紛争については、国権の発動たる武力の行使はいけないということになっておりますので、この憲法9条の趣旨を単に閣議決定で変えられるものではないというふうに思います。 したがって一般的な集団的自衛権の行使はやはり憲法の、それをしたいということであれば、憲法の改正を主張するべきだと思います。 角谷:はい、山口さん。 山口:はい。集団的自衛権というのは憲法にはどこにも書いておりません。今回の解釈では、あくまで憲法の考え方をはっきりと示したものでありまして、国際法で言うところの集団的自衛権のことを議論したわけではありません。この憲法の解釈は長年、政府の取ってきた基本の枠内で今回、確定したものであります。他国に対する武力攻撃があった場合も、わが国は自衛権を行使できることを明記しましたけども、その条件は日本の国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に限っております。この明白な危険がある場合というのは、わが国に戦火が及ぶ蓋然性、あるいは日本の国民の被る犠牲が深刻、かつ重大である場合、これを客観的、合理的に判断する。こういう考え方を採っているわけでありますので、これまでの論理的な整合性と憲法の歯止めはしっかり守られているし、これからも改正をしなければ変えることができない。そういう解釈を確定しました。 角谷:はい、江田さんからいきましょう。 江田:はい。われわれ維新の党、結党した9月の時点で自衛権の範囲の明確化ということで、統一見解を出しました。われわれは他国攻撃であれ、自国攻撃であれ、その結果、国民の生命、財産に重大な危害、戦火が及ぶ場合には、自衛権を行使するのは憲法9条によってなんら禁止されてないという立場です。 いずれにせよ国際法的にはニカラグア判決に見られるように、自国を防衛する権利が個別的自衛権、そして他国を防衛する権利が集団的自衛権です。しかしこの個別的、集団的のこの範疇の、この外縁の部分は重なりあってきた、相対化されてきた。従いまして、われわれが認めるのは、あくまでも47年見解の延長線上のこの個別的自衛権に当たる、しかし一方から見れば集団的とも言っていいようなケースを限定的に認めるというのが、今回のわれわれの統一見解の趣旨でございます。 角谷:はい、海江田さん、いかがでしょう。 海江田:今、国民が何を一番心配をしているかというと、実は尖閣の問題であり、そして小笠原の問題なんですよ。これはわが国の領土と領海の問題なんですよ。ですから私たちは、まずわが国の領土、領海、そして領空もそうですが、これをしっかり守るということで、領域警備法という法律を作りました。これは個別的自衛権の問題ですが、今一番喫緊の問題であり、多くの国民が心配しているのはこの点です。そして、集団的自衛権の問題は今もお話ありました。これはわが国に対する直接的な攻撃じゃないんですよ。他国に対する攻撃でありますから、その意味では、まずしっかり国民の間で議論をしなければいけない。その議論が決定的に不足をしています。特に7月1日の閣議決定というのは、そうした議論をしないまま、国会が閉じられたあとにそれを閣議決定しているわけですから、こうしたやり方というのは、これはやはりおかしいということで、私たちはこの閣議決定は撤回すべきだということを主張しています。 角谷:安倍さん。