“自己責任での使用”が大前提…Temuって大丈夫? 専門家に聞くシェア急拡大中の通販サイトの評判
「日本の安全基準に合格した製品ではありません」……“自己責任での使用”が個人輸入の大前提
もっとも近年、玩具や電化製品など、海外通販で購入した商品の事故が多発している。一足早く日本にも上陸し話題を呼んだ中国発の通販サイト「SHEIN」の場合は、韓国で発売された下着や水着、浮き輪などから発がん性物質が検出されたという報道があったばかりだ。 こうした報道を見ると、体が触れるものや、子どもが扱う玩具などの購入はためらう人も多いのではないだろうか。 「個人輸入の場合、購入した商品は『自己責任』で使用することが大前提にあります。例えば日本のAmazonで購入した商品に何か事故があった場合、責任は日本のAmazonに問うこともできますが、海外通販の場合は期待できません。 海外通販で体や健康を害する可能性のある商品を購入する際には、安全性に問題がないか確認した上で、購入・使用するといった消費者の意識が必要だと思います」 現時点(8月半ば)では、日本国内でTemuの商品の安全性を問題視する声は上がっていないが、米国では自国の安全基準を満たしていないことで子供用のパジャマがリコールになったケースもあるという。「日本ではまだ調査が追いついていないということかもしれませんので、これから出てくる可能性は当然あります」と遠藤さん。 「そもそも輸入品というのは、日本の安全基準に合格した製品ではありません。そのため、購入には慎重になったほうがいいものもあります。 例えば、口に入れてしまいかねない赤ちゃんやペットに関する商品、直接、肌に触れる商品、事故が起きたら人体に影響が起きかねない商品など。化粧品も日本で認められている成分が使われているとは限りません。 それを念頭に置いた上で購入を決めるのであれば、リスクを最小限に抑えるためにも、衣料品であれば洗ってから、小物類であれば拭いてから使うことをおすすめします」 海外通販を利用する際には、消費者一人一人が購入前に慎重に検討することはもちろん、今後は、「海外通販に向けた日本の管理体制も問われるはず」と遠藤さんは言う。 さて、こうして見ていくと、いろいろ気をつけるべきことはあるが、それさえ抑えておけば、満足いく買い物ができそうな気がしてきた。 日本に上陸して丸一年、Temuの正体が少しずつ明らかになってきた今が、個人輸入初心者には始めどきなのかもしれない。 「物価の高騰が続く米国で大ヒットしたのは、それだけ安さに魅力を感じている人が多いからです。 もちろんデメリットはありますが、Temuの安さや利便性のメリットはそれらを圧倒するほど大きい。今後は日本でもAmazonや楽天を抜いてトップに立つほどの勢いが感じられる。日本のEC事業者ももっと頑張らないと、追い越されるのは時間の問題ではないでしょうか」 遠藤奈美子 ECアナリスト・ネット通販コンシェルジュ。トゥインクルスプリンクルジャパン株式会社 代表取締役で All About「通販・ネットショッピングの活用法」ガイドとしても活躍中。高校卒業後、単身渡米しアメリカの大学で心理学を専攻。帰国後は外資系医薬品卸会社を経てインターネットショップ運営企業に入社し、執行責任者としてショップ運営全般を担当。その後、MBA(経営管理修士)を取得。コンサルティング会社にて自治体や省庁などへのIT活用コンサルティング業務に従事。現在はメディア出演やコンサルティングなど幅広い業務を行う。著書に『50歳からのネットショッピング』。 取材・文:辻啓子
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