「闘病中なのに執筆で完全徹夜」 余命宣告された森永卓郎がフルスピードで駆け抜ける理由 「書籍12冊を同時執筆」
闘病中なのに執筆で完全徹夜
そしていま、さまざまな頸木から解放された私が、一番注力しているのが、書籍の執筆だ。昨年5月に上梓した、財務省のカルト教団体質を批判した『ザイム真理教』の原稿を書き上げたときは、ほぼ全ての大手出版社から出版を断られた。しかし、それが19万部のヒット作となった。続く『書いてはいけない』は26万部、最新刊の『がん闘病日記』も6万部売れている。 それだけベストセラーになると、出版社は、手のひらを返してくる。いま私は書籍12冊の執筆を同時進行で続けている。さすがにそれだけの冊数を同時にやると間に合わなくなって、先日も闘病中であるにもかかわらず、完全徹夜をしてしまった。ただ、猛烈なスピードで書いているので、夏のうちに、なんとかすべて脱稿できるめどが立ってきた。
「免疫の3割はどれだけ前向きに生きているか」
がんというのは、がん細胞軍団と免疫細胞軍団による「関ヶ原の合戦」だ。私の体の中では、いま両軍の勢力が拮抗する形で、小康状態が続いている。しかし、ちょっとでもパワーバランスが崩れると、免疫細胞軍団が崩壊に向かって、死に至る。それがいつ来るかを予測することは、残念ながらできない。だからこそ、まず生前整理にめどをつけて、いつ死んでもよいように環境を整える必要があるのだ。 それができたいま、私は残された時間を、誰にも忖度(そんたく)せず、真実を世間に伝えるためにフルスピードで駆け抜けている。それは、短距離ランナーと似ているかもしれない。水分補給はおろか、呼吸さえ考えずに、ただ走ることに集中すればよいからだ。もしかすると、そのほうが命を永らえることにつながるかもしれない。ある医師は私にこう言った。 「免疫量は健康状態に比例しますが、免疫の3割はどれだけ前向きに生きているのかという精神面の要因に左右されるんですよ」 前編【「桜の花は見られない」余命宣告された森永卓郎が独白 「延命にこだわらない私が月100万円の治療を受ける理由」 資産の終活のウラ側も】では、森永氏が月100万円の自由診療を受けている理由や、「資産の終活」に振り回される様子について語っている。 「週刊新潮」2024年9月19日号 掲載
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