「闘病中なのに執筆で完全徹夜」 余命宣告された森永卓郎がフルスピードで駆け抜ける理由 「書籍12冊を同時執筆」
代役を引き受けてくれた長男
なお、ずっとためこんできた10台以上のパソコンや周辺機器は、自分自身で処分した。パソコンは、内部の基盤に大量の金(きん)を含んでいる。折からの金価格の高騰という追い風のおかげで、パソコンは専門のリサイクル業者が無償で引き取ってくれる。しかもパソコンが1台あれば、それを入れた段ボールに周辺機器や小型家電を詰め込み放題になる。この仕組みのおかげで、私のデジタル機器の生前整理は一気に進んだ。 そして、生前整理の最後の一つが「仕事」だった。がんで倒れたのが昨年末だったので、その直後の私のスケジュールには、新年会合などでの講演がぎっしり詰まっていた。突然の代役を最も多く引き受けてくれたのが、長男の康平だった。 「世襲」との批判も受けたが、世間の評判はよく、いまでは康平のほうが私より桁違いに多くメディア出演をしている。経済アナリストとしての事業承継は円滑に進んだのだ。
今やっていることは……
一方、B宝館は、IT技術者をしている次男が受け継いでくれることになった。康平にコレクターとしての素養が一切ないからだ。次男は事前準備として、すでに開館日にはB宝館の店頭に立っている。そして、私が近所の畑を借りて続けてきた農業に関しても、私の病気を知った畑の仲間たちが、除草から土づくり、植え付けなどをすべてやってくれて、私はズルいことに、いま収穫だけを楽しんでいる。自分だけでやっているのは、自宅の花壇にサツマイモを植えることくらいだ。 世の中には、事業承継に悩む中小企業主が多いのだが、私の仕事の生前整理は、このように驚くほど順調に進んだのだ。 それでは、生前整理にめどが立った私が、いま何をしているのかというと、やりたいことだけを、やりたいだけやっているのが現状だ。 テレビのレギュラーこそ「がっちりマンデー!!」(TBS系)1本だけに減ったが、ラジオのレギュラー番組は6本とも継続中だ。新聞や雑誌の連載も12本が継続している。大学の講義も、大教室での授業こそ休講中だが、ゼミ生への指導は全力投球でやっている。