「犯罪者が愛する国」武器密売人や麻薬王がドバイの物件を買いあさる理由 米
地下牢で、自ら拷問を働いていたのは有名だった
データによると、戦争犯罪に問われている元アフガニスタン政府高官、アサデューラ・カリードもドバイに居を構えているとみられる。カリードはアメリカの支援を受けたアフガニスタン政府で、諜報機関にあたる国家保安局の局長など様々な役職を歴任した。 2009年、カナダの外交官リチャード・コルビン氏は議会公聴会で証言した際、カリードが「ガズニーに地下牢を持っていたのは周知の事実だった」と述べた。「麻薬組織を運営していたことで知られていた。犯罪組織を抱え、邪魔者を消していた」。 カリードは知事を務めていたカンダハールにも、ゲストハウスの地下にやはり地下牢を持っていた。「本人も認めていた」とコルヴィン氏。「その地下牢で、自ら拷問を働いていたのは有名だった」。 カリードは自らに向けられた疑惑について「プロパガンダだ」と主張していたが、何年も前からファルークと同じ界隈にヴィラを所有し、毎月数万ドル単位の家賃を支払っていることが書類で明らかになった。 カリードの邸宅の先、沖合にはヤシの木の形をした人工の島パーム・ジュメイラがある。そこで複数の物件に関与しているのが、シリアの独裁者バシャール・アル=アサド大統領のいとこにあたるラミとイハブのマクルーフ兄弟だ。2人はシリアでも指折りの大富豪であり権力者だが、汚職と政権乱用ほう助の罪でアメリカ・EU・イギリスから制裁を科されている(イハブは兄を補佐したとして制裁対象にされた)。 2020年、ラミ・マクルーフはシリアの代理で西側諸国の制裁回避を行っていることをFacebookで認めた。 2020年、シリア政府はラミ・マクルーフに渡航禁止令を出したと国内メディアは報じているが、賃貸データを見る限り、マクルーフは物件の賃貸料で数万ドル近くの収入を得ている。 パーム・ジュメイラにあるマクルーフ兄弟の物件の近隣には、カルテル組織のドンで、麻薬売買で南米各国から指名手配されているセバスチアン・マルセットがいる。マルセットは新婚旅行でコロンビアを訪れていたパラグアイの検察官、マルセロ・ペッチ氏の暗殺を手配したとして、コロンビア大統領から起訴されている。 本人は容疑を否認しているが、いまも南米の警察や検察を翻弄している。