“アニメ総集編”の劇場版『ぼっち・ざ・ろっく!』が全国映画動員ランキングで1位を獲得したワケ
興行通信社が発表した6月7~9日の全国映画動員ランキングで、6月7日から公開がスタートした『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:』(以下、劇場版)が1位を獲得した。はまじあき氏の『まんがタイムきらら MAX』(芳文社)で連載している人気4コマ漫画『ぼっち・ざ・ろっく! 』をアニメ化した作品の劇場総集編の前編となる本作。あくまで総集編のため、どこまで動員を伸ばすかが注目されたが、堂々の1位に輝きその人気の高さを見せつけた。基本的にはアニメ版で見たことのあるシーンが流れるが、再編集されたことによってまた新しい面白さを感じさせ、すでにアニメ版をすべて見た人も楽しめる内容と言って良い。(以下、ネタバレを含む)。 【関連画像】2024年アニメ映画のド本命は? 「興収100億」を超えそうな作品予想 本作は8話の台風の日のライブまでが描かれている。8話分を約90分にまとめているため、どうしてもカットせざるを得ないシーンが少なくない。残念ながら、後藤ひとり(以下、ぼっち)の家に伊地知虹夏と喜多郁代が訪れた際にぼっちが死んだ目をして可愛い服を着たり、ライブの打ち上げで変形してしまったぼっちの顔を山田リョウと郁代が紙やすりで整備したりなどのシーンは見られない。とはいえ、ぼっちが初対面のリョウに挨拶する時に虹夏が「リョウは表情が出にくいだけ」「変人って言ったら喜ぶよ」と言った後に「嬉しくないし」と照れるリョウに、ぼっちが心の中で「嬉しそうだ」とポツリとつぶやく個人的にかなり好きなシーンは残っている。 印象的な小ネタはカットせず、もちろんライブシーンはしっかりと巨大スクリーンに映し出されていた劇場版。アーティストに例えるなら“ベストアルバム”みたいな印象だった。ベストアルバムはカップリング曲が入ることは珍しく、シングルやアルバムの表題曲の曲が収録されがち。裏を返せば、アニメ版を視聴していない人は『ぼっち・ざ・ろっく! 』とはどういう作品なのかを把握できる。そして、劇場版を見た後にアニメ版を視聴すれば、「こんなシーンもあったのか!」と映画館では見られなかった面白いシーンを知ってより深みにハマっていける。まるで“ベストアルバムからハマって気付けば過去のシングルを掘り下げまくる”という高揚感を味わえるだろう。