F1で培った技術を市販ハイパーカーへ! 鬼才ニューウェイのレッドブル最終作RB17が公開。LMHの安全規則採用
イギリスで開催されているグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(FOS)にて、レッドブルはハイパーカー“RB17”を公開した。 【ギャラリー】画像で詳細チェック! レッドブル、市販ハイパーカーRB17を発表 RB17は、“空力の鬼才”ことエイドリアン・ニューウェイがレッドブル・アドバンスド・テクノロジー部門と共に制作。F1で培われた技術がここに集約された。 レッドブルはチームのF1マシンにRB1から2024年のRB20まで、F1参戦年数をマシン名称につけていたが、COVID-19の影響によってレギュレーション改定時期が変更され、2021年のマシンは基本的には前年のマシンを使うことが義務付けられたためRB16Bに……RB17という名称が欠番になっていた。しかし、F1と親密な関係を持つこのハイパーカーにはもってこいの名前だった。 2022年6月にプロジェクトが初めて公表されてから、グッドウッドで実際に公開されたRB17の仕様は大きく変更された。 主な変更点はエンジンに関するモノで、F1にインスパイアされたV8ターボエンジンから、4.5リッター自然吸気V10エンジンに置き換えられた。最高回転数はなんと1万5000rpmだ。また当初の4WDシステム搭載は見送られ、1200hp以上のパワーがカーボンファイバー製ギヤボックスを通してリヤタイヤ、そして地面へと伝えられる。 そしてRB17の車重は900kg以下。F1と同等のラップタイムと350km/hを超える最高速度を実現しつつも、所有しやすく、操作しやすいクルマにすることをこだわったという。 motorsport.comの独占インタビューに応じたニューウェイは、RB17が「家やガレージに喜んで飾れるような芸術作品であるべきだ」と語り、次のように語った。 「単純にアートという面から楽しむ。そして、いい音でなければならない」 「この最後の挑戦は、私の最初のデザインから根本的に変わるモノだった。私は1000馬力を発生するパワーユニットを求めていたんだが、エンジンの最大重量は150kgに抑えたかったからね」 「V8ターボであれば、それは可能だった。しかし自然吸気ほど良い音は出せない」 「私にとって、そして多くの人にとって、F1のオーディオ・サウンドトラックとしての頂点は2005年末までの高回転V10だったと思う」 レッドブルはすでにRB17の生産段階に入っており、シャシーやギヤボックス、エンジンの製造に先立ち、現在はサスペンションエレメントの製造が行なわれている。 また実際のRB17はグッドウッドで公開されたモデルよりも小型化され、スタイルも変更される予定だという。 当初は何の制限も受けないサーキット専用マシンを謳ったRB17だが、実車では世界耐久選手権(WEC)の最高峰カテゴリーで使用されるル・マン・ハイパーカーの安全規則を採用したとニューウェイは説明した。 「これは通過点だ」とニューウェイは言う。 「あれから1年が経とうとしているが、我々は開発を続けてきた」 「スタイリングの観点だけでなく、他のことも(変更した)。全長も全幅も(公開された)ブルーのマシンよりも少し小さくなった。スタイリングはさらに改善されたと思う」 「他にも取り入れなければならないことがあった。というのもLMHの安全規則を全てクリアしなければならないという不安があったからだ」 ニューウェイはRB17がいつかWECはやル・マンに参戦することは可能だとしながらも、そのためには「特に空力の大幅な再設計」とエンジンの変更が必要になるという。 RB17は50台のみ製造される予定で、ニューウェイは自身が2025年3月にレッドブルを去る前にプロジェクトを完了させることを約束した。 レッドブルはRB17の顧客に対して、様々なサーキットプログラムを提供する他、2年または走行距離4000kmのいずれか早く到達した場合まで、保証を提供するとしている。
Alex Kalinauckas