【宇都宮競輪・GⅡ共同通信社杯】8月の誕生日に心筋梗塞を発症の田中誠が元気に出場
<12日・宇都宮競輪・前検日> 【九州王国 再興へ】 九州勢は阿部将大が11日に病気欠場となったため、17人での戦いとなる。自動番組でもあり、ややいびつな構成になる番組も多い。6Rでは九州4車が重なり、熊本の嘉永泰斗―中川誠一郎と林大悟(福岡)―山田英明(佐賀)に分かれて戦う。
嘉永はオリオン賞に選出されていたオールスターを体調不良で直前に欠場。「今年は流れがあまり良くないですね」と声のトーンは弾まない。だが「10月の熊本記念もあるし、練習を頑張ってはいます。末を欠くレースが多いし、街道で地脚をつける練習を始めています」とリズムの悪さに手をこまねいているわけではない。昨年は単騎戦が続く中で決勝に進出した。「自転車はいいと思う。メンタル的にしっかりしてくればやれるはず」と、相性のいい大会で反撃開始だ。
熊本勢からは2人がビッグ初出場。100期の徳永哲人はデビュー13年、42歳での初舞台だ。「2年前に、一番応援してくれていた父が亡くなった。父のお世話での忙しさに流されていたが、せっかく競輪選手になったのならやれるだけやってみようと気持ちを入れ替えた」。練習メニューも大きく変えて、本腰で取り組むと成績はぐんぐんアップ。今年4月にS級初優勝を遂げ、今回の出場権を手にした。「ここでは負けて元々。変なプレッシャーはないし、やるだけやってやる、という気持ちです」。初日8Rは単騎戦。同期の窓場千加頼や恩田淳平らと戦う。
上野優太も5月、函館FⅠでS級初V。ビッグ初出場を勝ち取った。初日9Rで、相手はいきなり脇本雄太。「何とか爪痕を残したいですね。高いレベルで走ることで勉強になることも多いと思うし、いろいろと吸収したい」。追い込みに転向して着実にステップアップ。ここでの経験を持ち帰って、ビッグ常連の足掛かりにしたい。
田中誠は昨年のこの大会以来のビッグ出場。今回は直前の3場所を欠場していたが、「8月7日、心筋梗塞になったんですよ。誕生日に」と平然と話した。「何か左の胸だけが痛いな、そのうち治るかな、と思ったけど痛みが治まらない。一応、病院に行ったら心筋梗塞の疑いと言われました。右手首からカテーテルで手術。8日間ほど入院しました」。大病を患った割には元気いっぱいで、「練習もバリバリやってきました。生まれ変わりましたよ」とニヤリ。初日12Rで山田庸平マークから、「新生・誠」をアピールする。