ファミレス「ジョイフル」が社員の独立を促しているなぜ、人手不足にあえぐ外食企業の新たな人材確保策の色々
こうした事例を見れば、社員の独立支援制度を持っている外食企業が各業態のトップ企業であり、社員のキャリアアップ支援を会社方針としている企業が、組織のモチベーションを維持できることを実証している。 ■賃上げだけが解決策ではない これからの外食チェーンは、新店開発を本部が行い、一定期間のマーケティング実証をして持続可能な店舗を貢献度の高い社員に渡していく企業が増えるはずだ。 なぜなら、従業員を労働力として扱うのではなく、パートナーとして育て、共存共栄していくという体制を持たない企業に、人は集まらないからである。そして、これは正社員に限ったことではなく、パート・アルバイトから正社員をスカウトしていくうえでも有効であることは間違いない。
人手不足という課題を外食産業の現状を踏まえてみてきたが、この問題、国内の労働集約的産業に共通の問題であることは言うまでもない。解決策は、生産性向上や賃上げといった話として議論されていることが多いように思うのだが、本質的には従業員個人としてのキャリアアップをサポートする気があるか否か、が最も重要なのではないか。 人材確保に賃金水準が最も大事なことは間違いないが、必要条件であって十分ではないだろう。人はパンのみにて生きるにあらず! なのである。
中井 彰人 :流通アナリスト