アウトドア風「JOY」登場で王者N-BOXはさらに強くなる!!……のか?
ただ、ライバル車たちよりも「ウリ」が弱いかも
ホンダによると、N-BOX JOYの販売計画台数は月間3,000台。タントファンクロスやデリカミニ、スペーシアギアなどのライバル車を検討していたユーザーをかっさらっていく気が満々に思える計画台数だ。しかしながら、N-BOX JOYがこのホンダの思惑通りに売れるかというと、筆者は微妙だと考えている。おそらく、N-BOX JOYが増えたぶん、標準車やカスタムが減り、N-BOX全体としてはさして変わらないのでは、と思うのだ。 このカテゴリは、どのモデルも各社がユーザーの嗜好に合わせて考え抜き、キャラクター付けがされている。たとえば、オフロードの走行性能に関しては三菱「デリカミニ」(の4WD)が有利だ。4WDのみではあるが、車高を上げて専用ダンパーチューニングを施すなど、足回りにコストをかけている。N-BOX JOY登場のちょうど一週間前にフルモデルチェンジをしたスズキ「スペーシアギア」も、丸目ヘッドライトや縦スリットのフロントグリルなどが、軽オフローダーの王者である同社の「ジムニー」をイメージさせ、ワイルドで魅力的。ダイハツの「タントファンクロス」も、助手席側センターピラーレスのミラクルオープンドアのおかげで、荷物の載せ下ろしはダントツでしやすい。 N-BOX JOYにも、ベースであるN-BOXのつくりのよさや、センスのいい内外装デザインという魅力はあるが、これら3モデルの個性と比較してしまうと、N-BOX JOYを選ぶ必然性に欠けるような気がする。もちろんN-BOXのつくりのよさというは大きな魅力には違いないのだが、こうしたクロスオーバーSUV風を求めるユーザーが注目する特別感がN-BOX JOYからは感じにくいように思われるのだ。
既存のN-BOXユーザーがライバル車に流れてしまうのを引き留められればよいのかも
ただ、そうはいっても、王者N-BOXの派生車であるN-BOX JOYは、ライバル車同等以上には売れるのだろう。本当にアウトドアユースを考えるならば、荷室がより広いN-VANのクロス版のほうが有利だったはずだが、ここは「クロスオーバー風」でよいわけであり、ホンダとしても月間3,000台という台数は、ライバル車からユーザーをかっさらうというよりも、既存のN-BOXユーザーがライバル車に流れてしまうのを引き留めることを考慮した数値なのかもしれない。 実際にN-BOX JOYの販売数が判明するのは11月以降になる見込みだ。はたして、王者N-BOXに追加されたN-BOX JOYはどのような活躍をみせてくれるのか、今後の動向に注目だ。