「芸人としての理想形」キャプテン渡辺がSMA先輩ハリウッドザコシショウを語る
2年連続で漫談イベント「漫談スタイル」を開催し、大盛況を収めたキャプテン渡辺。彼にしかできない漫談はニッチなファンを呼び、業界内でも確かな評価を確立する。そんな彼から見る偉大な先輩・ハリウッドザコシショウや、2024年のお笑い界について話を聞いた。(前後編の後編)>>前編は下の関連記事からご覧ください。 【写真】独演会を開催するキャプテン渡辺 ──先日、SBS(静岡放送)でハリウッドザコシショウの冠番組『冠ザコシの冠冠大冠』にも出演しましたよね。改めて、ハリウッドザコシショウとはどんな存在でしょうか? シショウは一番憧れの人。芸人としての理想形だと思います。お笑いのことしか考えていないし、好きなことしかやっていない。それであそこまでいくんだから。SMAの芸人はみんな影響を受けているんじゃないですか。シショウに言われて単独ライブをやることを決めたという部分もあるので、大きな存在ですよ。 ──やっぱり人間としての器量も感じますか? 器量はあります。厳しいけど、最後は優しいんです。先輩に言うのもすごく失礼ですけど、人たらしというか。普通だったら許さないよなという場面でも最後には許してくれる優しさがあるんです。 ──ネタに関しても、SMAの芸人さんだとザコシショウさんによく見てもらうという話も聞きます。 シショウがだめだと言うネタは絶対だめですね。そこの判断がすごい。SMAの芸人であれば、シショウを笑わせるくらいじゃないと売れないんですよ。だから、僕も自信のないネタを見てもらうときは怖さもあります。 ──話を聞いていても、SMAは特殊な事務所なのかなと思うのですが、中から見てどういう事務所でしょうか? 一言で言ったら楽しい。悪く言ったらぬるま湯。そのぬるま湯から脱した芸人が売れています。バイきんぐとかシショウとか錦鯉とか。錦鯉はM-1を取る前はライブに出まくっていましたし、目の色が違いました。 一方で、僕は人生においては売れるが絶対正義だとは思っていなくて、売れなくても楽しく芸人活動ができているのであれば、人生としてはいいんじゃないかと思うんです。そういう意味で、40代後半でこれだけ売れていない芸人がいる事務所は他にないので、SMAは懐が広いですよね。 ──加えて、SMAの芸人はしっかりと色があるというか、この事務所だとわかるような色を持っていますよね。 僕やシショウ、錦鯉、AMEMIYAだって、他の事務所で通用しなかった者が集まってきている。いわゆるエリートではなくて雑草組だから、色が似てくると思うんです。一回負けたから、出てくる色だと思います。 ──いわゆる雑草組かもしれませんが、SMAは賞レース王者やファイナリストを何組も輩出していますよね。その理由はどこにあるのでしょうか? 環境がすごく良かったんだと思います。びーちぶという持ち小屋があって、SMAの芸人なら格安の値段でライブができた。吉本の芸人はみんなびっくりするんですけど、ライブが終わった後にみんなで反省会をするんです。全員で毎日ネタについて話すというのは他の事務所だとあまりないだろうし、それが良かったんじゃないですかね。 ──昨今のコンプライアンスもどんどんと厳しくなっている印象を受けます。メディアに出る側として息苦しさもあるのではないでしょうか? 下手なことが言えないですもんね。わざわざ言わないですけど、気にしなきゃいけない。僕の場合、競馬番組で急に変なことは言わないですけど、厳しくなるのはしんどいなと思います。