霞ケ浦の高度浄水供給 茨城県南の7市町に 臭気除去、経費減
茨城県が整備を進めていた霞ケ浦浄水場(土浦市)の高度浄水処理施設が1日、供用を開始した。国内の先進的施設で、オゾンと過酸化水素を使い、かび臭の原因物質の完全除去が可能となる。従来の活性炭を中心とした処理に比べ、年1億円超の経費削減が見込まれる。 県企業局によると、同浄水場が供給しているのは土浦、つくば、龍ケ崎、取手、牛久、阿見、利根の県南7市町。計画給水人口は約39万人に上る。 新施設は「オゾン促進酸化処理」の機能を持つ。オゾンに過酸化水素を加えることで、臭気物質の酸化、分解を促す。利根川(取手市)、水海道(常総市)の両浄水場で運用しているオゾン単独処理と比べ、かび臭の原因物質の分解能力は数百倍に高まる。 水源の霞ケ浦はかび臭の原因物質を多く含む。気温が上昇する春ごろから藻類の発生が増え、臭いが増す傾向にあるという。2004年4月、水質基準にかび臭などの項目が追加され、浄水場では活性炭の使用量が増えるなど運転コストが課題となっていた。 新施設は20年8月に整備に着手し、今年9月に完成した。通水試験や水質試験などを経て、今月からの供用にこぎ着けた。建物は3階建てで延べ床面積は1360平方メートル。事業費は約52億円。 供用後も、従来の活性炭によるろ過処理は継続する。事前に高度浄水処理を行うため、活性炭の交換や再生処理の回数が減る。二酸化炭素(CO2)を削減できるほか、同局は30年間で計約30億円のコスト減を見込む。 さらに昨年12月からは砂層を活用する「高速砂ろ過池」の整備にも着手。完成すれば活性炭の長寿命化が図れ、経費削減につながるという。 同局の担当者は「安全で安心な水を安定的・継続的に供給しながら、引き続きコスト縮減に努めていく」と話している。
茨城新聞社