「立命館大学がすごい」その理由とは? 最上位の大学として位置づけられる要因
学生ファースト指針の徹底
今やどの大学も、学生ファーストを掲げていると思う。問題は、その実現度だ。いかにそれが計画や行動で貫かれ、学生の認識でも評価されているかどうかだ。立命館では、まず第一の政策として「学生、生徒、児童の成長が第一」が働く者の行動の基準とされている。 多様な学生を広く世界中から集めることは大学の多面的な発展の要件だが、既述のとおり立命館は約半分が近畿圏外の出身で、他地域の出身者比率は大規模大学では全国断トツ1位と言われる。留学生も全国3位で、3000人いる(ダイバーシティの確保)。これにより、学生同士の交流と切磋琢磨の幅が広がるメリットがある。 学生ファーストを体現する一つの組織体として、全学協議会の伝統がある。大学を構成するすべての構成員による自治という「全構成員自治」の考え方に基づき、大学を構成する学生、大学院生、教職員および大学側が、教育・研究、学生生活の諸条件の改革・改善に主体的に関わる仕組みを持っている。他の大学では一般には聞かない、特徴のある学生参画の運営制度だ。 就職活動支援にも学生ファーストの思想が徹底されており、特に未内定者へのサポート体制の充実はよく指摘される。それが就職決定率96.5%(2023年度)という結果に結び付いている。 最後に、学生は、立命館での生活をどう総括しているのだろうか。満足度が低い結果であれば、大学の姿勢や制度も意義が低下する。立命館では、学生に対して卒業時に総括的なアンケート調査を行っており、その結果から、学生生活への満足度を見る(2023年3月調査)。
①立命館の教育全体への満足度は、「とても満足」31.8%、「ある程度満足」48.3%の合計が約8割。「どちらかというと満足」を加えると96.5%が満足しており、大学教育全体は学生に評価されている。学生ファーストの観点からは最も大事な指標で、この高い結果は立命館の方針が実現している証拠になる。 ②大学での正課(授業)で学んだことが将来の仕事に役立つかどうかも聞いている。正課(授業)で学んだことが将来の仕事に役立つと思うかは、「とても満足」26.5%、「ある程度満足」42.9%の合計が約7割。「どちらかというと満足」を加えると、89.8%が役立つと考えている。仕事の観点からの授業への評価も高い結果である。 ③正課外(授業外)で学んだことが将来の仕事に役立つと思うかは、「とても満足」32.8%と「ある程度満足」40.2%の合計が73%。「どちらかというと満足」を加えると、92.5%が役立つと考えている。立命館では授業、授業外両者が相まって学生の成長を促進し、将来への準備がなされており、授業外が授業よりも若干高い結果になっている。 学生は授業以外の時間のほうが長く、教員が授業で接触できる時間は限られている。学生自らが参加する課外活動や交友の重要性が浮かんでくる。逆にそれらに参加しないと、参加した学生に比べて滅失利益が生じる。 近年どの学生でも、一部の学生はキャンパスで一人で過ごす傾向がある。授業が終わるとすぐ帰宅する学生がおり、仲間と一緒に過ごす「居場所づくり」や企画が時代的に重みを増している。 大学として、授業は当たり前だが、それ以外の参加のオプションを多様にするため、交友を活発化するコモンズなどの活用、そこでの発表などのイベント、ハードとソフト両面の整備が望まれる。また立地にもよるが、周辺のアルバイト雇用機会の確保も実社会での経験という点で、成長の重要な要素である。