「自信があるかどうかは関係なくて、目の前のことをやるだけ」藤本美貴の考える、前しか見ない生き方とは?
―藤本さんの前向きさや自己肯定感に助けられ、力をもらった人は多いと思います。自分にどうしても自信を持てない方が、自己肯定感を身につけることはできるでしょうか。 私は、「自信がある、自信がない」とか「自己肯定感を養う」ということをあまり考えたことがなくて。自分がやりたいことをやったり、たどり着きたいところに行くために、一生懸命やるだけだと思うんです。緊張することはあるけど、頑張ったからこそ緊張するんだと思っています。頑張っていなかったら、緊張する権利もない。自信についても同じことで、努力して初めて自信を持つ権利が与えられるんだと思います。そう思うと、まずはやってみようと前向きになれませんか? ―これまでの経験からそう思えるようになったのですか。 そうですね。若い頃、コンサートをやるにも最初は自信なんてなかったんです。ただ一生懸命、歌とダンスを覚えて、完成までもっていく。それを、たとえばリハーサルで「ちゃんとできた」という結果があって、ひとつめの自信になる。お客さんの前で披露して「大丈夫、できた」となると、ふたつめの自信になる。自信があるかどうかは関係なくて、目の前のことをやるだけなんです。前に進むしかない。でも、自分が前向きな人だと気づいたのは、最近なんですよ。 ―それは意外です。きっかけは? 私の言葉に「勇気づけられた」と言ってくださる方が増えて、語録を本にまとめることになり、これまでの発言を振り返ってみた時に、自分は前向きなことを言っていたんだとあらためて気付かされました。 ―私たちフィガロジャポンは、アールドヴィーヴル(暮らしの美学)を提案しているのですが、藤本さんの人生における美学をお聞きしたいです。 それは、自分を大事にすることで見えてくるのではないかと思います。自分のやりたいこと、なりたい自分、人にこうしてあげたいと思う自分をよく知ること。自分の中に軸を持って生きることが、私の美学かな。 ―あらためて、いまさまざまなことに悩んでいる方に伝えたいことはありますか? やっぱり「前しか見ない」ですね(笑)。心の底から「前に進んでおけば大丈夫」って思うんです。反省もしなくていい。同じことが二度起きることは少ないですから。前だけ向いていれば、すぐ明日は来ます。悩んでいるより前に進みましょう。
interview & text: Saiko Ena